【1】
妊婦が葉酸を摂取するとよい理由を教えてください。
葉酸はたんぱく質や核酸の合成に働いて発育を促す栄養素です。核酸というのはDNAやRNAのことで、細胞の核の中にあって遺伝情報を保存したり、遺伝情報どおりにからだをつくっていく指令を出す、いわば生命の根幹。不足すると胎児の脳神経の発達に障害が出ることも考えられます。妊娠時の葉酸摂取量は、非妊娠時の倍の1日400μg(0.4mg)です。食事からとることもできますが、厚生労働省では、食事に加えてサプリメントで1日400μg(0.4mg)とることをすすめています。胎児の脳の形成は受精後3ヶ月に集中しており、妊娠がわかる前からすでに葉酸を必要としているので、妊娠を望む女性は日ごろから葉酸をとることを心がけているとよいでしょう。
【2】
葉酸を多く含んでいるのは、どのような食材でしょうか?
葉酸は、野菜を1日350g摂ると1日400μg(0.4mg)の葉酸がとれると言われています。動物性の食品ではレバー(鶏、豚、牛)やレバーペーストに含まれます。植物性食品では、納豆やひよこ豆、枝豆、そら豆、アスパラガス、ブロッコリー、芽キャベツ、青菜類(小松菜、春菊、菜の花、ほうれん草、モロヘイヤなど)などの「野菜」や、アボカド、いちご、オレンジ、パパイア、マンゴーなどの「果物」、えのきやエリンギ、しいたけなどの「きのこ類」などに含まれます。レバー類は妊娠中に多く必要な鉄分の供給源にもなるので、ときどき献立にとりいれましょう。野菜やきのこ類はエネルギーも低く、便秘を改善する食物繊維源にもなるので、お浸しや煮物、ソテー、汁の具などにして、毎食、食べたいものです。果物は1日200gくらいを目安にします。
【3】
妊婦にとって、鉄分はなぜ必要なのでしょうか?
鉄は血液中の赤血球にあるヘモグロビンの成分で、体のすみずみに酸素を運び、エネルギー作りを促す働きをしています。妊娠すると、赤ちゃんの血液の分、鉄も多く必要になるうえ、栄養素は赤ちゃんが優先的にとります。鉄が不足すると疲れやすく、息切れがしたり、めまいなどの症状を起こす貧血を招きますから気をつけましょう。
鉄の多い食品の代表はレバーですが、そう毎日食べられる食品ではありませんので、他に鉄の多い食品を挙げると、赤身の多い牛肉、血合いのある魚やマグロ、かつおなど赤身の魚、貝類、大豆や高野豆腐、ほうれん草などの青菜類、ひじきや切干大根などです。鉄は吸収の悪い栄養素ですが、肉や魚などの動物性たんぱく質や、野菜・かんきつ類に豊富なビタミンCと組み合わせてとることで吸収率がアップします。
【4】
ビタミンAは胎児に悪い影響があるのでしょうか?
ビタミンAのとり過ぎについて、アメリカである疫学調査の結果が報告されました。これは、妊娠前3ヶ月から妊娠初期3ヶ月までにビタミンA補給剤を1日10,000μgレチノール当量以上継続して摂取した女性から生まれた赤ちゃんに、奇形が現れる率が高いというもの。これを受けて日本でも、厚生労働省から妊娠初期や妊娠を望む女性のビタミンAの過剰摂取への注意がされています。ビタミンAの過剰摂取が心配される食品はレバーです。レバーは鉄分が多いので、貧血になりやすい妊婦は積極的に食べがちですが、豚レバー100gで13,000μg、鶏レバー100gで14,000μgとビタミンAも多く含まれています。
とはいえ、毎日レバーを食べるということはほとんどありえないことから、食品での過剰摂取はあまり心配することはありません。薬品や健康食品、ビタミン剤などのサプリメントなどで摂取する場合には注意が必要です。
【5】
塩分のとり過ぎがいけない理由を教えてください。
塩分をとり過ぎると、血液中のナトリウム濃度が濃くなり、血圧を上昇させます。同時に水分を体内にためようとするのでからだがむくみ、だるさを感じたりします。特に妊娠後期は腎臓の働きや心臓への負担が増え、高血圧、むくみ、たんぱく尿の症状を伴う妊娠中毒症を招きやすくなり、ひどい場合は入院が必要になります。漬物の塩分は野菜の種類や漬け込む時間などにより若干違いますが、だいたい1食分30gあたり約1gが含まれます。つまり毎食だと3gになり、これは1日10g以下という塩分摂取目安量の1/3に相当します。塩分はしょうゆや塩、みそなどの調味料や他の加工品などからもとるので、日本人はとり過ぎの傾向があります。妊娠中はもちろんですが、普段の食事でも漬物は1日1回に減らすことをおすすめします。しょうゆをかけて食べるのは厳禁です。
【6】
妊婦の1日あたりの塩分摂取量の目安を教えてください。
妊娠中の塩分の摂取目安量は、健康な妊婦なら妊娠していない人と同じ1日10g以下です。妊娠中毒症の場合は、1日7g以下が目安です。日本人は塩、みそ、しょうゆなど塩分の多い調味料をよく使うため、塩分摂取量が多くなりがちですが、適正な塩分量を心がけるポイントをいくつか挙げておきます。[1]食卓に調味料を置かず、必要があればその調味料だけを食卓に出す、[2]調味料は料理に直接かけず、小皿にとって使う、[3]だしを濃い目にとる、[4]酸味(酢やかんきつ類の果汁など)や香味や辛味(こしょう、唐辛子、カレーなど)を効かせる、[5]減塩タイプの調味料を使う、[6]献立の中で味つけにメリハリをつける、[7]みそ汁は1日2食までにする。
【7】
果物など、糖分をとり過ぎるとよくない理由を教えてください。
果物はビタミンCや食物繊維、水分を補うために、生食の場合であれば1日200gくらいはとりたい食品です。しかし、果物の甘さは果糖という糖分なので、食べ過ぎればエネルギーのとり過ぎになり、太る原因になりえるのです。よく食べる果物の200gに相当する量を示しますので参考にしてください。なお、ドライフルーツは水分が無い分、糖分が凝縮されていますし、缶詰めはシロップ漬けのものが多いので、食べ過ぎないようにしましょう。
●200gに相当する果物の量●いちご10〜15個、いちじく3個、いよかん大1個、オレンジ1.5個、柿大1個、キウイ大2個、グレープフルーツ中1個、小玉すいか1/4個、バナナ中2本、ぶどう大粒20個、マンゴー大1個、りんご中1個、みかん大2個、モモ大1個
【8】
妊娠中のサプリメントの服用はよくないのでしょうか?
例えば、「貧血だから」と、自己判断でサプリメントを服用することはおすすめできません。また、家族や友人にサプリメントをすすめられた場合にも、まずは主治医や保健センターの栄養士に相談しましょう。また、病院で処方された栄養剤や鉄剤であれば、医師が症状の緩和、治療のために必要と判断したものであり、妊婦が服用してもよいものが選ばれています。用法・用量を守り、主治医の指示にしたがって必要な期間、服用したほうがよいでしょう。
【9】
市販の栄養ドリンクを飲む際の注意点を教えてください。
まず栄養ドリンクやサプリメントを購入する際、妊婦が服用してよい商品かどうかを薬剤師に相談しましょう。商品によっては、妊娠中の栄養補給や不足しやすい鉄やカルシウムなどを補えるものもあります。しかし、過剰症が心配されるビタミンAやカフェイン入りのものもありますので、注意が必要です。身体に必要な栄養素は食事で補うことが理想的ですが、妊娠中はつわりや体調不順などに伴う食欲不振で思うように栄養がとれない場合もあります。自己判断で栄養ドリンクやサプリメントを服用するのではなく、かならず主治医か薬剤師、栄養士に相談するべきです。