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クスリになる話 冬の柑橘類(2)
人間にとってなくてはならないものなのに減塩、減塩といわれてしまいがちな食塩。しかし、本当は私たちが生命を維持するためにとても重要な役割を担っているのです。

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 今から38億年も前のはるか昔、地球上で初めての生命が生まれ、やがて陸上動物の祖先は、海の水を体内に閉じ込めて上陸したといわれています。だから、私たち人間の体内の水分と海水はとてもよく似ているのです。
 生物が進化する過程で、生命を維持するのにもっとも必要なものはカルシウムや栄養分ですが、海水は細胞にとっての「環境」としてなくてはならないものです。
 実際、今でも私たちの体の細胞の一つひとつは、同様の塩水の中に浸っています。しかし、この体内の塩分のバランスが崩れると、食欲不振になり、倦怠感を覚え、活力も減退してしまうのです。塩分、つまりナトリウムは生命維持に不可欠です。塩に対して、私たち人間が生理的に欲求を持つのは当然のことなのです。

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塩が体液量と血圧も支配している

体重の約3分の2を占める水分(体液)に含まれる塩(ナトリウムや塩素イオンなど)が細胞の内と外の浸透圧を支配しています。浸透圧の均衡が狂ってしまうと、体液量が減少したり逆に増加したりします。体液量の変化は血管の中を流れる血液量(血圧)にも影響を及ぼすことになります。

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塩はスグレモノの健康入浴剤

かのクレオパトラも楊貴妃も、塩を入れて入浴していたという話があります。塩にはミネラルが含まれており、そのために入浴後の体温を維持して湯ざめをしにくくし、さらに代謝を活発にします。塩をひとつかみ浴槽に入れ、塩湯を試してみてください。ところで、塩を肌にすり込むときれいになるといいますがそれは単に汚れが落ちて、そう感じるだけなのです。

高梨 浩樹 先生
たかなし・ひろき
1968年生まれ。たばこと塩の博物館学芸員。筑波大学大学院修士課程環境科学研究科修了後、現職に。専攻は塩全般、とくに製塩技術史、生態人類学。著書に『塩と人の物語〜知られざる塩の恩恵〜』『知ってるようで知らない塩の話』。



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