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    東京慈恵会医科大学 健康医学科

大野 誠 先生

おおの・まこと
1950年、埼玉県生まれ。’75年、東京慈恵会医科大学卒業。’80年、慈恵会医科大学病院肥満専門外来を担当。日本肥満学会評議員、日本宇宙口腔環境医学会評議員。『肥満とヘルシーダイエット』『太りすぎは生活習慣チェックで治る』など著書多数。
 

●肥満度を判定しよう
 
 
体格指数や標準体重などの指標をもとに、肥満かどうかを判定します。BMI(Body Mass Index)という体格指数は、世界で最も広く使われている肥満判定用の物差しです。国内外で行われているさまざまな研究で、BMI22前後の人が最も病気になりにくいことが明らかになっています。日本肥満学会は、この数字をもとに、新しい標準体重の計算方法を提示しています。この計算で「太りすぎ」と判定された人の7〜8割は、明らかな肥満体と考えられます。

●肥満要因チェック表
  各項目をチェックし、合計点数が4点以上の人は太りやすい条件が備わっています。あなたのダーリンは何点?


 男性は年をとるにしたがって、上半身、とくにおなかの周りに脂肪がついてきます。女性のおしりやももが太くなる「洋ナシ型肥満」に対して、男性は「りんご型肥満」といわれます。このりんご型肥満が生活習慣病に結びつきます。りんご型肥満にも「内臓脂肪型肥満」と「皮下脂肪型肥満」があり、内臓脂肪肥満のほうがより生活習慣病と深い関わりをもっています。
  りんご型肥満はなぜいけないか? 最近は、「死の四重奏」症候群が注目されています。上体肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)の4つの条件が揃うと、心筋梗塞(しんきんこうそく)などの心臓病で死亡する危険が高まるというのです。肥満を軽く考えず、ビヤ樽のように突き出たおなかを引っ込めるよう、健康のためのダイエットをすすめましょう。

 「かた太り」と「隠れ肥満」という表現があります。かた太りは、スポーツマンなど筋肉や骨量が多くて体重が多い人をいい、隠れ肥満は、「ふつう」や「やせ」と判定された人の中でも体脂肪が多い人たちです。
  ではどんな人が隠れ肥満なのでしょうか。若いころから細身のままなのに、おなかの周りにだけぼてっと脂肪がついた中年男性がそう。中年になると、若いころより筋肉が減るのが普通ですが、若いころと体重が変わらないとすれば、筋肉が落ちた分、脂肪が増えています。
  りんご型肥満、隠れ肥満の人は、「死の四重奏」を招かないよう、体についてしまった脂肪を減らすことを目指して、早速ダイエットを始めましょう。


 まずは普段の生活状態を右の表でチェックしてみてください。そして、手始めに、夫自身で自分の生活習慣を日記に記し、「第三者の目」で客観的に自分の行動の分析をします。日記には、「何を」「どのくらい」「何をしながら」「どんな気分で」食べたのか、「何を」「どのくらいの時間」をかけて体を動かしたか毎日細かくメモしておきます。 そして、毎日決まった時間に体重と体脂肪率を測り、折れ線グラフを作成します。1日の歩行数も記録しておくとよいでしょう。
  この日記を1ヶ月以上つけたら、いろいろな問題点が見えてきます。その問題点を2人で確認し、修正・改善していくようにしましょう。

●体脂肪計を上手に活用
人間の体の約6割は電気をよく通す水分が占めています。一方、体脂肪は電気を通しにくいので、体脂肪の多い人ほど体の電気抵抗が高くなります。そこで、体内に弱い電気を流して電気抵抗を測定し、体脂肪を算出するのが体脂肪計です。体の電気抵抗は、朝が高く、夕方が低いのがふつう。また、食事、運動、発汗、入浴などによっても変化するので、計測は1日1回、いつも決まった時間に同じ条件で測るようにしましょう。


 行動分析のための日記をもとに、食べ過ぎを防ぐ食習慣をつけるように気を配ります。では奥様としてご主人に協力できることは何でしょうか。

●手軽にできる食品に頼りすぎない。調理に時間をかけ、食事の内容や栄養バランスに気を配る。

●エネルギーは、男性は1日2000キロカロリー以下(女性は1800キロカロリー以下)に抑える。

●清涼飲料水やビールは決めた量だけ冷蔵庫で冷やしておき、惰性で飲ませないようにする。

●料理を大皿に盛って複数の人と食べると、自分の量がわからなくなるので、小皿に1品ずつ盛り付け、食べた量をはっきりさせる。

●食事がすんだらすぐに食卓から離れさせるようにする。

●1日1万歩、歩く工夫を
        
ゆっくり食べる
満腹感は、食事を始めて20〜30分しないと得られない。そこで、ゆっくり食べるように習慣づける。よくかむようにすることも大切。
    
3分間の中休みを
おかわりをするときなどに中休みを入れると、食事のペースが遅くなる。また、本当に必要な量、食べたい量も次第にわかってくる。
     
ながら食いの禁止
テレビを見ながら、新聞を読みながらの「ながら食い」をやめさせる。食事に集中できず、必要以上に食べる量も増えてしまいがち。
 
寝る前の食事は禁物
夜食や寝る前の間食などはやめさせる。そのひと口がブタになることを思い出させる。また夕食のまとめ買いも肥満の原因になる。
1日3食を規則正しく
朝食や昼食を抜いたりして食事の回数を減らすと、かえって空腹感が増す。生活リズムに合わせて、食事を摂るスケジュールをきちんと決める。
食べる場所も決める
食事、間食を問わず、ものを食べる場所は1カ所に限定する。お菓子などの食べ物も、むやみにいろいろな場所に置いておかない。
一番大切なことはご主人自らが自分の食習慣に気づき改善しようとすることです。
腹八分目を心がける
出されたものを全部たいらげていると食べ過ぎにつながる。とくに外出先では何か1品残すなどして、腹八分目を心がけるようにアドバイスする。


 食事だけのダイエットでは徐々に基礎代謝が低下して体重が減りにくくなり、インスリンというホルモンの効き目が悪くなって、生活習慣病を引き起こしやすくなります。そこで運動。太りにくい体をつくるためには、やはりウォーキングなどの有酸素運動が一番。特別な格好も器械も必要ない運動で、長続きさせることが大切です。
  筋肉や骨の減少を防ぐ筋力トレーニング(腹筋体操、腕立て伏せなど)も行えば、シェイプアップに役立ちます。
  肥満の人が突然激しい運動を始めるとひざや足首を痛めたり、運が悪いと心臓発作を起こしてしまうことも。メディカルチェックを受けてから行うようにしましょう。

●1日1万歩、歩く工夫を
        
出かけるときは積極的に歩くように。散歩するような気分で。
    
エレベーターやエスカレーターは使わず階段を利用する。
     
少し早足で、背筋を伸ばし、颯爽と。靴も歩きやすいものに。
 
通勤の行き帰りは1駅前で降りて歩くようにする。

●手軽にできるCM体操
 テレビCMの間にできる体操。トータルで1日15分を心がけて。
        
 
片ひざを両手で抱え、手前に引き寄せる。もう一方の足も同様。
    
両手を胸の前で合わせ、ひじを左右水平に張って引き合う。   いすを両手で支え、体を浮かす感じで両足を前に伸ばす。

●ダイエット成功の秘けつ
 ダイエットすると、ふつう体脂肪と一緒に筋肉も少し減ってしまいますが、体重が逆戻りするときは、おもに体脂肪のみが増加し、筋肉は増えません。この繰り返しを「ウエイトサイクリング」と呼んでいます。
  この体重の増減を繰り返していると、ますますやせにくくなってしまいます。決してはやりの◯◯ダイエット法などに惑わされず、あくまで本人の生活習慣に合ったダイエット法を探すことです。とくにウエイトサイクリングを繰り返している人の場合は、始めから難しい目標を立て、歯を食いしばって頑張っている人が多い。ご主人の性格を知り抜いている奥さまならではの、楽で、長くつきあえるダイエットメニューを考えてあげましょう。

●ダイエットを成功させるために
 ウエイトサイクリングにならないためにも、気がゆるまないようにし二人で助け合って頑張りましょう。そのためには、次のようなことをすれば、少しでもダイエットの環境が整います。

▼周囲の人に高らかに宣言。「今日から絶対やせるぞ!」「今日からお酒の量も少なくするぞ!」などと言いふらしておけば、周りに監視の目もあるため、意志を貫きやすくなります。

▼ひとりでやるのはちょっとつらい。妻と一緒にやるとか、職場の同僚と競走するなどして、お互い励まし合い、刺激し合う仲間をつくるとよいでしょう。

▼継続して記録をつける。自分の行動を客観的に見つめ直せます。


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