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女性に頭痛もちが多いのは、こんな理由からだった!? 女性のための頭痛ケアを紹介

頭痛は、起きる前に予防をしたり、起き始めに適切なケアをしたりすることが大切です。自分の頭痛のタイプを知る方法や、タイプに応じたセルフケアを、頭痛専門医の五十嵐久佳医師に聞きました。Q&A形式でお届けします。

《 SELF CARE 》女性に頭痛もちが多いのは、こんな理由からだった!? 女性のための頭痛ケアを紹介

Q:朝から頭が何となく重くて痛い……。この〝痛み〟、我慢したほうがいいの?

 痛みは、疲労や発熱と共に三大生体アラームの1つで、体に何かしらの異常や異変が起こっていることを知らせる重要なサインです。女性を悩ませる様々な痛みの中でも多いのが頭痛です。ひと口に頭痛といっても、その原因は様々。病院での治療はそれを突き止めることから始まります。しかし、症状が比較的軽い場合は市販の頭痛薬で対処する方法もあります。

 

 市販薬は、痛みを感じたら早めに服用するようにしましょう。服用後、数時間で回復すればよいのですが、1日に2回以上服用しても痛みが治まらない場合や、月に10日以上服用している人は、受診が必要です。

 

 薬を服用する日数が増えると、脳や神経が痛みに敏感になり、少しの刺激でも痛みを感じるようになります。また、痛みそのものが強くなったり、治りにくくなったりするなど、痛みの慢性化にもつながりかねません。そのため、1日の服用回数や服用してよい日数を守ることが大切です。

Q:頭痛は何科を受診するの?

 頭痛には様々な種類があり、どんな頭痛かによって適切な治療も異なります。また、頭痛の種類や原因は、検査の数値によって判定できるものではないため、正確な診断をするのが難しいのです。そのため、できれば専門医の診察を受けることをおすすめします。

 

 受診の際は、正確な診断を受けるためにも、自身の症状をしっかりと医師に伝えることが大切です。痛みの程度や頻度、どんな痛みが、どんな時に起こりやすいかなどを説明できるよう、メモをとっておいたり、頭痛ダイアリーをつけておいたりするのも一案です。

Q:頭痛の症状は年代によって変わるって本当?

 繰り返す頭痛には代表的なものとして3つのタイプがあり、そのうち女性に多いのが、片頭痛と緊張型頭痛です。

 

 片頭痛は、10後半から多くなり、最も多い30代では5人に1人が片頭痛もちといわれています。痛みを引き起こす要因には、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの分泌量の変動が挙げられており、エストロゲンの血中濃度が低下する生理前や生理中、出産後は頭痛が起こりやすくなります。

 

 また、更年期に頭痛が悪化する場合もあります。エストロゲンの変動に加え、子どもの独立や夫の定年退職、親の介護といった生活環境の変化が重なり、頭痛が多くなるのです。しかし、閉経し、エストロゲンの変動がなくなると頭痛の頻度が減り、痛みも軽くなる傾向があります。

 

 一方、年代に関係なく起こるのが、緊張型頭痛です。人間関係や家庭で問題を抱えている、長時間同じ姿勢でいるなど心身のストレスが重なると、首や肩の筋肉が収縮。血行不良から痛みが起こると考えられています。

Q:自分の頭痛タイプを知る方法はありますか?

 片頭痛は、こめかみから目の辺りにかけて片側または両側に、ズキンズキンとした強い痛みが発作的に起こり、動くと痛みが強くなります。一方、緊張型頭痛は、頭全体がギュッと締めつけられるような痛みで、体を動かしても痛みが強くなりません。群発頭痛は、片側の目の奥がえぐられるような激痛で、じっとしていられません。発作が起きたら、病院に行くようにしましょう。

 

 また、痛み以外の症状もタイプを見極めるポイントになります。片頭痛は吐き気や嘔吐、光と音に敏感になるといった症状を伴います。その他、痛みが起こる前に生あくびがよく出る、イライラするなどの予兆や、目の前に稲妻のような閃光が見えるといった前兆が現れることもあります。緊張型頭痛は肩や首のこり、群発頭痛は痛む側の目が充血して涙が出るなどの症状を伴います。

 

 頭痛の種類により応急ケアが異なるため、自分の頭痛タイプを知っておくことはとても大切です。

Q:頭痛って予防できるものなの?

 寝不足や寝過ぎ、朝食や昼食を抜くといった生活リズムの乱れは頭痛の引き金になります。まずは、普段の生活を意識して変えていきましょう。

 

 毎日決まった時間に起床・就寝。食事は抜いたりせずにしっかり摂ることが大切です。また、ストレッチやヨガなど、軽めの運動をするのもおすすめです。体を動かすと血流がよくなり、心身のリフレッシュになります。

 

 片頭痛の人は光やにおいに敏感なため、部屋の灯りは蛍光灯よりも電球の光にしたり、消臭剤や洗剤はなるべくにおいがきつくない物を選んだりするといったことも、頭痛の予防につながります。

 

 さらに、頭痛ダイアリーをつけると、どんな時に頭痛が起こりやすいか、何が頭痛の引き金になっているかなど、自分の頭痛パターンを知ることができるので、頭痛の予防に役立ちます。

 

 例えば、生理周期に連動して頭痛が起こりやすい場合は、生理の時は無理をしないようにする、飲酒を控えるなどで、頭痛の要因を減らすことができるのです。そして、空腹な状態が続き、血糖値が下がって頭痛が起こるような場合は、対処法としてあめをなめ、血糖値の低下を防ぐとよいでしょう。

監修者/五十嵐久佳先生(いがらし・ひさか)

富士通クリニック頭痛外来。1979年北里大学医学部卒業。医学博士。北里大学医学部内科学講師、宮内庁病院第二内科医長、富士通南多摩工場健康推進センター長、神奈川歯科大学附属横浜クリニック内科学講座教授を歴任。81年より頭痛医療に携わり、現在に至る。日本頭痛学会理事・専門医。『頭痛女子バイブル』(世界文化社)などを監修。