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読めばきっと希望が見出せる。

先の見えない日々の中にいると、乗り越えるパワーが欲しいと思うこともありますね。そんな時におすすめしたい、明日への希望をくれる本&映画をご紹介します。

愛し信じ続ける何かに、きっと「神様」がいる

 社内抗争に巻き込まれて退職を余儀なくされた歩は、40歳を目前に無職となってしまう。そんな歩の父・郷直(通称:ゴウ)は、とにかく大のギャンブル好きで借金を繰り返すダメ親父。歩が辞表を会社に提出したその日、母から父が心筋梗塞で入院したと知らされた。一気に崖っぷちに追い込まれ慌てる歩と母を尻目に、ゴウはもう1つの趣味である映画鑑賞にいそしむ。

 しかしある日、ゴウが映画雑誌「映友」に歩の書いた文章を投稿したのをきっかけに、歩は編集部に採用され、さらにゴウの映画ブログをスタートさせることに……。

 本作では「映画」が壊れかけた家族を救うきっかけとして描かれている。私たちの世界に置き換えるならば、絶望や悲しみから這い上がるためのきっかけは何だっていい。歩とゴウにとって「映画」がそうであったように、愛し信じ続けられる「何か」を見つけることが、どんな時でも前向きに生きるための武器になる。

 読み終わった後は、まるで映画のエンドロールを見ているかのような温かな余韻に包まれる本作。映画という別世界への旅を楽しみながら、その「何か」を見つけるきっかけとなるかもしれない。

キネマの神様

 

キネマの神様

著/原田マハ

文春文庫 680円+税

文・瀬在有紀/セルフドクター編集室