· 

4月に始めたい!育てて味わう、楽しさ満載の「ハーブキッチンガーデン」

私たちの暮らしに身近になったハーブ。ベランダなどで手軽に育てられ、栽培が簡単な植物です。自然の治癒力を持つといわれるハーブは、私たちの暮らしにたくさんの楽しみを運んできてくれます。4月はハーブ栽培に最適。植物が芽吹くこの春、生活の中にもっとハーブを取り入れてみませんか?

4月に始めたい!育てて味わう、楽しさ満載の「ハーブキッチンガーデン」

毎日の生活に彩りを加えるハーブの魅力

ハーブは、スパイスやお茶、サラダとして食べることはもちろん、ポプリとして香りを楽しんだり、葉を観賞したりと、その楽しみ方はいろいろ。日本でも一般的に見かけるようになり、興味を持っている人も多いと思います。

 

しかし、ハーブにはたくさん種類があり、初心者はどこから手をつけたらよいのか分かりにくいもの。そこで、ハーブコーディネーターの佐々木薫先生に、ハーブを育てるための基本知識や育てやすい種類、生活の中での利用方法などをお聞きしました。

 

ハーブはもともと野生の植物なので、育てるのに難しい技術は必要ありません。これだけ押さえていれば、だれでも気軽にハーブ生活を始められるでしょう。

ハーブを育てるための基礎知識

水やりはたっぷりと。

●適度な「日差し」

ほとんどのハーブは日光を好むので、午前中は光が十分当たり、風通しの良い場所に置きましょう。日差しが強い夏場は、直接日光が当らない明るい日陰に移動させます。また、ベランダの照り返しは非常に温度が高くなるため、スノコのなどの上に鉢を置きます。とくにミントやレモンバームなどは直射日光が当たると葉が焼けてしまうため、注意しましょう。

 

●土の表面が乾いたら「水」

水やりは、水と一緒に空気も流し込む作用もあるので、鉢の下から水が流れるほど、全体にたっぷり与えます。時間帯は、夏場は朝7時ごろ、冬場は太陽が高くなる10時頃が理想です。夏に日差しが強いときは、熱くなった土が水を温め、根が蒸れて腐ってしまうので要注意。冬の寒い時間帯は凍結する恐れもあります。春と秋は1日1回、夏は朝夕の2回、冬は3日に1回程度で、土の表面が乾いたときを目安にします。

 

●水はけのよい「土」

ハーブはヨーロッパの地中海沿岸原生のものが多く、水はけのよい石灰質の土を好みます。園芸店では、水はけがよく、適度に栄養がある「ハーブ用土」も購入できます。食用に使いたいバジルやルッコラなどのハーブは、野菜と同様、土がやせるのを防ぐために肥料を適度に与えましょう。また、土は冬の寒さで硬くなることがあるため、春先にはフォークなどで根を傷つけないように突いて柔らかくするとよいでしょう。

これだけあればハーブ栽培が始められます!

<鉢、コンテナ>

通気性・排水性のよい素焼きのタイプを。成長に合わせて選ぶ。

 

<スコップ>

手になじむ大きさを選ぶ。やや小さめがベター。

 

<鉢底ネット>

石や土がこぼれるのを防ぐ。また、害虫の侵入も防止。

 

<ジョウロ>

狭い所に使うには細いノズルタイプ、広い範囲で使うにはシャワータイプと、2つ用意すると便利。

 

<園芸用ハサミ>

挿し木や収穫のときに使う。使った後はさびないように水分をふき取る。

 

<手袋>

けがや汚れ、虫刺され防止に。綿素材がおすすめ。土いじりのときは、ゴム手袋が便利。

ハーブの育て方

苗から育てても、種から育てても。

●苗から育てる

苗は収穫までの期間が早いため、初心者向き。種類が豊富なのは4月ごろ。ラベンダーなど花をつけるハーブは、開花している時の移植を嫌うので、開花前の4月ごろに購入し、育てながら咲かせるとよいでしょう。多年草のハーブは、地上部が枯れてしまっても、翌年また新芽が出てきます。

 

<苗選びのチェックポイント>

・葉が瑞々しく、色が鮮やかで香りが強い。

・茎が太くて、株がぐらつかない。

・下葉が枯れていなく、新芽やつぼみに害虫がついていない。

 

●種から育てる

種まきの時期は、地域によって異なりますが、霜が降りる心配がない4月ごろの気候が最適。苗と比べると手間はかかってしまいますが、発芽から成長の過程を見られる楽しみが味わえます。種が比較的大きな種類のハーブは育てやすいです。

 

<種から育てやすいハーブ>

カモミール、ナスタチウム、ルッコラ、セージ、バジル、イタリアンパセリなど

 

●育てる時のチェックポイント

ほとんどのハーブは蒸れに弱いため、風通しのよい場所を好みます。収穫を兼ねて、密集している部分は切り取って、風通しをよくしておくことが大切。各ハーブの性質を把握することも必須。また、毎日チェックして、虫を発見したら、すぐに手で取る方法が一番。葉の色、新芽、葉の裏、つけ根、根元、鉢底などをチェックします。弱い部分や悪い部分は枝ごとカットすると、新しい元気な芽がどんどん出てきます。

 

鉢植えの方法はこちら。

鉢植えの方法

監修者/佐々木薫先生(ささき・かおる)

ハーブコーディネーター。(株)生活の木カルチャー事業部ゼネラルマネージャー。ハーブ・アロマテラピーの研究に携わり、製品・ショップ・ハーブガーデンの企画・開発を担当。講師としても活躍。著書に『まるごとハーブbook』(主婦の友社)、『心と体に効くハーブ活用ハンドブック』(池田書店)など多数。