
さまざまな選択肢をもつ、柔軟な生き方を求めて。
「いいことも、悪いことも、全部自分の責任。でも、だからこそ自由」。セルフプロデュースも行いながらフリーで活躍している宇賀なつみさんが目指しているのは、「個人の力」をもつ、しなやかな女性像でした。

「一人だけで独立」を決めた理由とは
2019年の春、テレビ局を退職して、フリーアナウンサーとして個人事務所を設立しました。どこにも所属せず、自分一人でやってみようと思ったのは、自身の「働き方改革」をしたいと考えたから。不安がなかったといえば嘘になりますが、どんな世界に身を置いても生きていける「個人の力」が欲しい、と思ったんです。何のあてもありませんでしたが、いざとなれば何でもやってやろうという気持ちで、手づくりの船で漕ぎ出す楽しさがありました。
実際に独立してみて、自分は何も知らなかったんだな、と痛感することも多々……。請求書を作成したり、税金を自分で納めるなど、特に経理上の実務は初めての連続。たくさんの人に助けてもらいながら、ここまで手探りでやってきたという感じです。でも、この働き方は、やはり私に合っていると思いますね。全部自分の責任、でも、その分自由度は上がります。
どんな仕事をどんなスタイルでするか、どこに住むか。いろんな選択肢があるほうが生きやすいと思うタイプなんです。現在はテレビの仕事に加え、ラジオや執筆活動などもさせていただいていますが、オン・オフは特に区別なく、趣味も全てが仕事につながっているような、ありがたい状況になっています。
小学校の図書室で出合った運命の一冊
「前向きだね」と言われることが多い私ですが、実は子ども時代は、とてもひねくれていたんですよ(笑)。毎日がつまらないと感じていました。
小学生の時、図書室で海原純子さんの『ポジティブ思考が女を変える』という本に出合い、そこに書かれている事柄を実践してみたら、本当にポジティブになっていったんです。この仕事をしているのも、海原さんの著書のおかげ。アナウンサーになって、ラジオ番組で海原さんと対談させていただいた時は、本当に感激しました。「起こること全てに意味がある」…… これは、私の考え方の指針になっています。
「好きなこと」が基本。心の声に素直に従う
会社員時代は不規則な生活でしたが、フリーになってからは睡眠時間が増え、体調がよくなりました。仕事の集中力も高まり、睡眠の大切さを実感しています。
お酒が大好きなので、家ではお酒に合う料理をつくることが多いですね。週に2、3日は、休肝日を設けています。そのほうが、お酒自体を楽しめると思うんですよ。食材は、体が素直に欲するものを中心にして、1週間単位で考えます。疲れていたらお肉を食べたり、足りない野菜を補ったり。自分の体のことを考えるのは好きなんです。
そして、どんなに忙しくても省かない習慣は、お風呂! 朝も夜も1時間ずつ湯船に浸かるようにしています。入浴剤やバスソルトも種類を揃えて、気分に合わせて楽しんでいます。温泉へ行くと、1泊2日でも7回くらい入りますよ(笑)。
「好きだと思うことをすることが私の健康法なんです」
旅も大好き。できるだけ毎月どこかへ行きたいな、と考えています。アクティブに街を散策する旅もいいし、一日中プールサイドでゆっくりビールを飲んで読書をするという過ごし方も好き。日焼けをしてはいけないと思いながら、太陽の光を浴びるのは大好き。何でも自分が気持ちいいと思うこと、好きだと思うことをすることが、私の健康法なんです。
2020年はコロナ禍により、世界中で大きな変化がありました。女性の生き方、働き方も「こうでなくては」と、1つの考えにとらわれることなく、状況に合わせた柔軟な対応が求められるのではないでしょうか。しなやかに、前向きに、これからも歩んでいけたらと思います。

profile
うが・なつみ
1986年東京都練馬区生まれ。立教大学社会学部を卒業後、テレビ朝日に入社。入社当日に「報道ステーション」気象キャスターとしてデビュー。情報、バラエティ番組など幅広く担当し、2019年に同局を退社、フリーランスとなる。現在はTV、ラジオ、司会業のほか、執筆活動も積極的に行っている。
文・山野井春絵
撮影・GENKI