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第2話 採れたて野菜をその日に食べる!ミニファームでもなかなかの収穫

東京に暮らしながら「自産自消」の暮らしは実現できるのか? 東京在住の会社員である筆者が、貸農園で野菜づくりに初挑戦。その取り組みへの思いや過程を綴る連載企画です。

1カ月でこんなに成長した!(左がじゃがいもとケール)

1カ月でこんなに成長した!(左がじゃがいもとケール)

春菊、水菜、ルッコラを収穫!

3月中旬に貸農園のミニファームに植えた春菊、水菜、ルッコラは気温もかなり上がってきたせいか順調に育ち、4月早々に収穫。収穫した日からしばらくは、毎食野菜を食べながら、ほっこりとした幸福感に包まれました。春菊と水菜は、新たまねぎや春キャベツを加えて春鍋にし、ルッコラは山盛りのサラダで独特の苦みを堪能。同じタイミングで植えたじゃがいもは、元気に育ちそうな芽だけを残す「芽かき」も終わり、ケールとともにぐんぐん育っています。

 

貸農園では、空豆の種をトレーに一粒ずつ蒔いて苗を育てたり、耕した畑に支柱を立てたりと、すでに夏野菜への準備がスタート。5月の初旬には、育てる夏野菜を決めて、種や苗を準備します。トマト、ナス、キュウリあたりを植えて、ひと夏でどのぐらい収穫できるか今から楽しみです。これまで、種や苗が必要になると、園芸店やホームセンターで買うのが当たり前でしたが、この「種」を巡って、昨年末に小さな発見がありました。

左から、春菊、水菜、ルッコラ

左から、春菊、水菜、ルッコラ

800年受け継がれてきた「平家大根」

「平家(へいけ)大根」という800年も前から受け継がれてきた「種」の存在を、ある食の勉強会で知ったのが発見のきっかけでした。テーマは「私たちが食べている野菜とは何か。F1種と古来種野菜。野菜から見えてくる食を取り巻く社会の姿」。話して下さったのは、warmerwarmer(ウォーマーウォーマー)代表の高橋一也さん。固定種、在来種、地野菜など、いわゆる昔ながらの野菜を「古来種野菜」と総称し、その流通・販売などを行っておられます。

 

「平家大根は、宮崎県の椎葉村という山奥の村で、800年前から受け継がれてきました。日本には110種以上の大根があり、その大半が高齢の農家さんによって栽培されています。さらに、日本各地で代々受け継がれてきた素晴らしい野菜たちが、大量生産ができない、形が不揃いなどの理由で市場に扱ってもらえず、途絶えようとしているのが現状です。」と高橋さん。通常の流通にはのらない野菜を直接農家さんから買い、ご自身で発送も行いながら、野菜の魅力を伝え、未来へとつなぐ様々な活動をされています。

色も形も味も様々な「古来種野菜」

色も形も味も様々な「古来種野菜」

「種」を巡る話題に、興味津々

江戸野菜や加賀野菜は、「伝統野菜」というくくりの中で食べてみたことはありました。なぜなら、店頭でも売られ、レストランでも付加価値のある野菜として提供されているからです。高橋さんのお話にあった、限界集落などで数名の農家さんによって細々と栽培されている野菜の存在を知ったのは、正直初めてでした。「農家さんが、種を蒔いて、育て、また種をとり、その種を蒔く」ことをイメージしてこなかったように思います。

 

多くのスーパーで大量に売られている野菜は、ほとんどが「F1種」と呼ばれるもの。大きさも味も均一で、安定的な供給が見込めますが、この「種」がその性質を維持できるのは一代限りです。私自身も野菜を収穫できれば何となくそれがゴールという思いで、その先の「種」への意識は乏しかったのですが、高橋さんの活動を知って以来「種」への関心は増すばかりです。これからも「種」のトピックスは積極的に拾っていきたいと思います。

 

高橋さんのお話に、ほんの少しでも興味を持たれた方は、こちらの書籍をぜひお読みください。

「古来種野菜を食べてください」 高橋一也著 晶文社

「古来種野菜を食べてください」

高橋一也著 晶文社

東京自産自消

文・藤本真穂

ベランダと貸農園で栽培中の野菜を通して“食”を考える会社員。脚本家・向田邦子さんの暮らしを愉しむ生き方が理想。