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第7話 東洋初のマルシェ? 鎌倉の「レンバイ」に行ってみた!

東京に暮らしながら「自産自消」の暮らしは実現できるのか? 東京在住の会社員である筆者が、貸農園で野菜づくりに初挑戦。その取り組みへの思いや過程を綴る連載企画です。

もしゃもしゃの葉っぱをつけた色鮮やかな人参 

もしゃもしゃの葉っぱをつけた色鮮やかな人参 

五感を圧倒する、色彩豊かな野菜の数々

「この人参黄色い! オレンジのかぼちゃ? これさつまいも?じゃがいも?」と場内に入った途端、思ったことが口から出ていました。ここは、鎌倉駅から歩いて4分程のところにある「レンバイ」こと鎌倉市農協連即売所です。緊急事態宣言が解除された直後、どうしても鎌倉の紫陽花をみたくなり、久しぶりに多摩川を渡ってプチ旅行。この「レンバイ」のことは「有名なシェフもわざわざ遠くから買いに来る野菜市場が鎌倉駅近くにあるらしい」と人づてに聞いていたので、紫陽花巡りの途中に立ち寄ってみました。

歴史を感じさせる看板

歴史を感じさせる看板

入口の看板を見れば分かる通り、とても古い建物で、昭和の香り漂う市場です。鎌倉市農協連販売所は、1928(昭和3)年に発足。「ヨーロッパでは農家が収穫物を、決めた日に決めた場所で、直接消費者に売っている」と外国人牧師から聞き、農家40軒ほどが始めました。現在は、23軒が4班に分かれローテーションで4日ごとに出店し、生産した野菜や花を直接販売しています。

農家の個性がひと目で分かる品揃え

スーパーでは目にしない珍しい野菜の数々

スーパーでは目にしない珍しい野菜の数々

訪れた日は6軒が出店し、色とりどりの西洋野菜を並べる店、葉野菜ばかりを揃える店、じゃがいもだけを売る店など、どこも特徴がひと目で分かります。お休みは年初の4日間だけで、朝8時から夕方5時頃まで毎日開店。4日ごとに出店するため、収穫に1日、販売に1日取られ、一般の農家に比べて畑仕事がきついそうです。それでも珍しい西洋野菜に注力する農家や多品種少量生産を徹底する農家が、それぞれの個性を生かしながら市場を支えています。

さつまいも?のようなじゃがいも

さつまいも?のようなじゃがいも

様々なじゃがいもを扱うお店で足をとめると、

「これは、アンデス・レッド、ノーザン・ルビー、レッド・ムーン ポム・デ・ラット」と店主が1つひとつのじゃがいもの断面を見せてくれます。

「初めて見ました~」と言うと「スーパーには男爵とメークインぐらいしかないからね」と誇らしげに説明しながら、これは焼くとおいしいよ、これはそのまま食べられるよと食べ方の指南まで。同じじゃがいもでもここまで色や形が違うと、お料理としてのバリエーションが広がりそうです。多くのシェフたちが通い続ける理由が少し分かったような気がしました。

オレンジかぼちゃ「コリンキー」

オレンジかぼちゃ「コリンキー」

もう一つ目を引いたのが、オレンジかぼちゃのコリンキーです。これは生でスライスして食べられると聞いて初めて「あ~、どこかで見たことある、あれがこれか」と私。サラダかぼちゃとも呼ばれるようです。ハロウィンの飾りつけで目にするかぼちゃランタンは、このコリンキーで作るのかと、また別の意味で納得です。

古都・鎌倉で90年育まれた食文化

こんなに多くの種類の野菜をなぜ1年を通して提供できるのだろう? 有名なシェフたちはなぜわざわざ鎌倉まで野菜を買いにくるのだろう? 「鎌倉野菜」っていつ頃から呼ばれていたのだろう?「レンバイ」をあとにしてからも、次々と「?」が頭の中をぐるぐるとよぎります。ミニトマトとキュウリとナスだけでも、成長の早さや収穫のタイミングが違って戸惑っている私には、あれだけ多くの野菜をどうやって畑で栽培できるのか、想像もつきません。

明月院ブルーの見事な紫陽花

明月院ブルーの見事な紫陽花

明月院(あじさい寺)の紫陽花を堪能した今回のプチ旅行の一番の収穫は、「レンバイ」でみた多種多様な野菜だったかもしれません。農家の人と直接話をしながら野菜を買えたり、レストランに入れば当たり前のように「鎌倉野菜」を使ったメニューがあったりする、これはもう鎌倉の地が育んできた食文化の一つです。露地栽培で様々な種類を育てる畑は、「七色畑」と呼ばれるそうで、次の機会にはぜひこの「七色畑」に足を運んでみたいと思います。

お地蔵さまも明月院ブルーでキメてます

お地蔵さまも明月院ブルーでキメてます

東京自産自消

文・藤本真穂

ベランダと貸農園で栽培中の野菜を通して“食”を考える会社員。脚本家・向田邦子さんの暮らしを愉しむ生き方が理想。