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カロリーは足りているのに栄養不足の「新型栄養失調」。女性が不足しがちな栄養素は?

最近いくら眠っても疲れがとれない、やる気が出ない、かぜをひきやすい……これらの症状は、意外にも栄養不足の可能性があります。これが、摂取カロリーは足りているのに栄養が足りない「新型栄養失調」というもの。どのような食習慣をしていると改善できるのか、日本初の栄養療法専門クリニックを開設した「みぞぐちクリニック」の溝口徹先生にお聞きしました。

カロリーは足りているのに栄養不足の「新型栄養失調」。女性が不足しがちな栄養素は?

女性こそ、お肉を食べよう!

「新型栄養失調」は、3食きちんと食べていてもなることがあり、カロリーが足りずにやせる従来の栄養失調と違って、どんな体型の人でも可能性があるため、見た目では分かりません。

 

「外来の女性患者さんに共通する栄養問題は、タンパク質と鉄、ビタミンB 群の不足です。これら全てを補えるのが赤身の肉。足りない栄養素を補うことで、体質や年齢のせいと思って諦めていた心身の不調も改善できます。“肉食女子”大歓迎、どんどん食べましょう。ただし食事だけで必要量を補うのは難しいので、毎日の食事に加えてサプリメントも活用するとよいでしょう」(溝口先生)

 

<赤身の肉で摂取できる、不足しがちな3つの栄養素>

①タンパク質

体をつくる基本的な栄養素。1日の必要量は体重1kgあたり最低1g以上とされるが、成長期や妊娠・授乳中、高齢者、運動をする人、不調を改善したい人はもっと必要になる。

 

②鉄

血液中に含まれ、全身に酸素を運ぶ重要な栄養素。コラーゲンの生成にも関わる。月経で血液を失う女性は慢性的に欠乏しており、更年期の不定愁訴や、高齢者のうつにも関わる。

 

③ビタミンB群

糖質・脂質・タンパク質の代謝を促して、エネルギーを生み出すとともに細胞をつくる重要な栄養素。ストレスや飲酒、糖質の過剰摂取により消費されてしまうため、現代人は特に不足がち。

女性こそお肉を食べよう

体のタンパク質は常に入れ替わっている

体の細胞を構成している分子(タンパク質)は、古くなると壊され、新しくつくり替えられています。同じように見える内臓でも、常に分子レベルでの入れ替えが行われているのです。

 

「このターンオーバー(代謝回転)の際の材料となる“タンパク質”をしっかり体に摂り入れて、質のよい細胞につくり替えていくことが大事。若さを保つにも、元気になるにも、病気を治すにも、タンパク質を十分に摂ることが必要です」(溝口先生)

 

細胞の入れ替え周期はそれぞれ異なりますが、主な細胞は120日ほどで入れ替えが完了します。まずは、主な細胞が入れ替わり、体調の変化を感じられる4カ月を目安に食習慣を変えてみてはいかがでしょうか。

脂質と糖質もしっかり摂るのがポイント

摂取カロリーが不足すると、せっかく食べたタンパク質がエネルギー源として消費されてしまい、新しくつくられる細胞の質が低下してしまいます。つまり「太るから」とカロリー制限をすると、かえって不調や老化を招くことに。エネルギー源となる三大栄養素のうち、脂質と糖質で必要なエネルギーをまかなうことが大事です。ただし摂り過ぎには注意しましょう。

 

ちなみに、お肉を食べるとお腹が張る……という人もいるでしょう。肉を食べる量を増やすと、消化しきれないタンパク質が腸内で発酵して、ガスがたまることがあります。お腹が張って苦しい場合は、消化酵素を含む大根おろしと一緒に食べると効果的。消化酵素配合の胃腸薬を利用してもよいでしょう。

監修/溝口 徹先

みぞぐちクリニック院長。1990年福島県立医科大学卒業。横浜市立大学医学部附属病院、国立循環器病センター勤務を経て、95年辻堂クリニック開設。2003年、日本初の栄養療法専門クリニックとなる新宿溝口クリニック開設。『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』(光文社新書)など著書多数。