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第8話 世田谷区の大平農園に学ぶ、野菜を作る人と食べる人が支え合うしくみ

東京に暮らしながら「自産自消」の暮らしは実現できるのか? 東京在住の会社員である筆者が、貸農園で野菜づくりに初挑戦。その取り組みへの思いや過程を綴る連載企画です。

ほんの少し赤く色づき始めたミニトマト

ほんの少し赤く色づき始めたミニトマト

夏野菜の収穫シーズン到来!

雨続きでなかなか畑に行けなかった6月。ミニトマトが雨に打たれていくつかパンクしたのが気になって、7月はせっせと畑通い。ミニトマトは、葉の付け根から出た「わき芽」を丁寧に取り除かないと、どんどん茂って密生してしまいます。そうなると栄養分が分散して実がつきにくくなったり、実が小さくなったりするそうです。はじめは、「わき芽」の区別がつかずに、実のついた枝を切ってしまったので、毎回慎重にハサミを入れます。

雨に打たれてパンクしたミニトマト

雨に打たれてパンクしたミニトマト

先日は、「背丈よりも高い部分は、もう切っちゃってくださいね」とスタッフに言われ、背伸びしながら枝をせっせとカット。腰をかがめて育つ様子を眺めていたミニトマトも、気が付けば自分の背丈より高くなっていました。梅雨が明け、真夏の日差しを浴びて赤くなることを心待ちにしています。キュウリとナスは収穫が進むにつれ、レシピの開拓も少しずつ進んでいます。

夏野菜、こんなに大きく成長中!

夏野菜、こんなに大きく成長中!

世田谷区等々力で400年続く大平農園

レシピといえば、先月『太平農園と畑のレシピ帖展(三軒茶屋・生活工房ギャラリー)に行ってきました。世田谷の等々力にある大平農園は、江戸時代から400年に渡って続く農家。化学肥料や農薬を使わない昔ながらの農法を守る大平農園を通して、地域の農業の歴史をパネルで展示し、旬の野菜を長く楽しむ知恵やレシピが紹介されていました。

江戸時代は農村地帯だった世田谷区

江戸時代は農村地帯だった世田谷区

畑のレシピ帖には、ネギ、カボチャ、サツマイモの冷凍の保存方法など、野菜を長く使うコツとともに、「カボチャのポタージュ」「ホウレンソウの海苔しょうゆ」「ピーマンの塩昆布あえ」などのレシピが丁寧に記されています。カボチャやサツマイモは、蒸したりふかしたりひと手間かけてから冷凍するのが保存のコツとか。いろいろな野菜の保存のコツをマスターすれば、ロス削減にも繋がります。

支え合う生産者と消費者

旬の野菜を美味しく食べるための保存方法や調理法を発信しているのが、1972年に生まれた「若葉会」という組織です。大平農園をはじめ農薬や化学肥料を使わない栽培方法を実践する生産者と、その志を支持する消費者で成り立っています。生産者がつくった野菜は「若葉会」が基本的にすべて買い取り、会員へ定期的に届けられます。受け取る会員は、野菜が届いてから「さあ何をつくろう」と考えるため、保存方法や調理法がとても重要なのですね。

大平農園1
大平農園2

大平農園の野菜は、週2回直売所でも販売

届いた野菜を目の前に、「さあ、どうしよう?」という思いは、第5話でご紹介した「規格外野菜」を買った際に経験済みです。段ボールに入った20種類の野菜を前に、ロスを出さずに食べ切れるだろうかというプレッシャーを痛感しました。今は、キュウリが一度に5~6本採れた時に、「さあ、どうしよう?」です。畑の野菜を食べるにつれ、捨てない、残さないが当たり前になり、野菜はできるだけ生産者に近いところで買いたいと思うようになりました。世田谷区内には、約120カ所も農産物直売所があるそうなので、この夏は新鮮な野菜を求めて足を運んでみようと思います。

「世田谷農産物直売所マップ」 (世田谷区のホームページより)

「世田谷農産物直売所マップ」(世田谷区のホームページより)

東京自産自消

文・藤本真穂

ベランダと貸農園で栽培中の野菜を通して“食”を考える会社員。脚本家・向田邦子さんの暮らしを愉しむ生き方が理想。