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夏バテの不調は「血流」に問題あり? 血流悪化を招く夏の三大要因とは?

冬よりも夏の方が「冷え」を感じやすくなってはいませんか? 冷房の利いた室内に長時間いるような環境下では血流も悪くなり、夏バテや疲れを招きやすくなっています。今や夏こそ血流を意識することが大事。日常で実践できる血流ケアについて、東京有明医療大学教授の川嶋 朗先生にお聞きしました。前編・後編の2回に分けてお届けします。

寒がる女性

女性は血流の影響を大きく受けている

血液は私たちの体の中をただ流れているのではなく、全身の細胞や各器官に酸素や栄養素、ホルモンなどを運んだり、細胞から出た老廃物を回収したりしてくれる〝運び屋〟です。血液の流れ(血流)が悪くなれば、必要な栄養素や酸素などが全身に行き届かず、下記のチェックリストにあるような、様々な不調を招いてしまうことに。健康や美しさを保つためには、十分な量の血液が、体の中をスムーズに流れていることが大切なのです。

 

特に月経のある女性の体は血液に左右されやすく、漢方では古くから「血の道症」という女性特有の病気があります。これは月経前症候群や更年期障害などにあたり、その原因は血液不足や循環の悪さとされています。月経で毎月血液を失う女性は血流が悪くなりやすい。だからこそ、日頃から血流を意識することが大切なのです。

あなたの血液の状態をチェック!

チェックの数が最も多いところがあなたの血流タイプです。チェックの数が同数の場合は、両方のタイプに当てはまります。

 

【血液がつくれないタイプ】

漢方では、血液をつくるにはエネルギー(気)が必要とされますが、そのエネルギー自体が不足しているタイプ。「気虚(ききょ)」の状態とされ、胃腸が弱いのが特徴。

□ 朝起きて疲れがとれていないことが多い

□ かぜをひきやすい

□ 胃腸が弱く、胃がもたれやすい

□ 平熱が35℃台である

□ 冷房に弱い

 

【血液不足タイプ】

月経のある女性に多く見られるタイプ。血液は全身の細胞に酸素や栄養素を運んでいるため、不足すると肌の老化にもつながる。漢方では「血虚(けっきょ)」の状態とされる。

□ 肌が乾燥している

□ 眠りが浅い

□ 脚がよくつる

□ 髪がよく抜ける

□ 貧血、あるいは貧血気味

 

【血液の流れが悪いタイプ】

血液の質が悪かったり、血液の量が足りていなかったりすることで、流れが悪くなっているタイプ。漢方では「瘀血(おけつ)」の状態とされる。月経トラブルに悩む人が多い。

□ 肌がくすみがち、 顔色が悪い

□ シミができやすい、目の下のクマがなかなかとれない

□ 頭痛や腰痛、肩こりがある

□ 月経痛がひどく、通常の生活が送れなくなる

□ 痔である

血流悪化を招く夏の三大要因とは?

あいすくりーむ食べすぎ注意

「冷え」は血流を悪くする最大の要因。実は気をつけたいのが冬よりも夏です。冬は暖かい服装で防備していますが、夏は薄着の上、冷たい飲食物を摂ってしまいがち。さらに冷房にさらされれば、体は当然冷えてしまいます。夏冷えの三大要因は次の通りです。

 

①冷房の利いた部屋と暑い屋外の行き来

自律神経のうち体を緊張させる交感神経が過度に優位になり、血管が収縮。この状態が続くと血流が悪くなる。

 

②冷たい飲食物ばかり摂る

暑い夏はのど越しのよい冷たい飲食物が欲しくなるけれど、冷たい物は体内の温度を一気に下げるので注意が必要。

 

③薄着

夏のファッションは素足にサンダル、ノースリーブと体を露出する傾向に。冷房の利いた部屋では一気に体が冷えてしまう。

夏こそしっかり血流ケアを

「現代の夏バテの多くは、暑い屋外と冷房の利いた室内を行き来することで、体温調節を行う自律神経が乱れることを原因としています。特に、今の若い人は冷房が当たり前の環境で育っているので、暑い時に汗で熱を発散し、体温を調節する体本来の機能が未発達。夏バテもしやすいのです」と川嶋朗先生。

 

室温を自分で調整できればよいのですが、通勤電車やオフィスなどではそうはいきません。

「だからこそ血流にアプローチする必要があります。血液は熱を全身に伝え、体温を調節する働きもあります。エネルギーを生み出す代謝に必要な栄養素を運んでいるのも血液。ですから、血流をよくするというのは、夏バテや疲れ対策として最低限行っておくべきことなんです」。

 

寒い冬だけでなく、現代は夏でも血流ケアが必要です。後編では、血流ケアの3ステップをご紹介します。

監修/川嶋 朗先生(かわしま・あきら)

東京有明医療大学教授、東洋医学研究所附属クリニック自然医療部門。北海道大学医学部卒業。ハーバード大学医学部留学を経て、現職に至る。西洋医学と代替・補完・伝統医療を統合した医療を目指す。日本抗加齢医学会評議員、日本統合医療学会理事。西洋医学では、腎臓病、膠原病、高血圧などが専門。