· 

第11話 自分の身は自分で守る。日常の食材で十分な「備え」を

東京に暮らしながら「自産自消」の暮らしは実現できるのか? 東京在住の会社員である筆者が、貸農園で野菜づくりに初挑戦。その取り組みへの思いや過程を綴る連載企画です。

自宅に備えた食材で生き延びる!

自宅に備えた食材で生き延びる!

備えの基本は、非常食から日常食へ

野菜の価格が高騰しています。九州地方をたて続けに襲った台風と大雨で、トマト、キュウリ、ナスなど夏野菜の価格が値上がりしています。一方、北海道は7月から8月上旬の記録的な高温と干ばつにより、じゃがいもや玉ネギなどの収穫量の減少は避けられないとも。何カ月も精魂込めて育てた作物を収穫できないことは、農家さんには正に死活問題。流通業、飲食業、そして私たち生活者にとっても大問題です。猛威を奮う自然を前に、十分な「備え」ができているのか、改めて見直してみました。

 

9月1日の防災の日が近いことから、百貨店やスーパーの流通大手では、保存食や防災グッズなどの売り場を一時的に拡充しています。小田急百貨店新宿店は、長期保存食の「イザメシ」をキッチン用品売場で販売中。「食べない備蓄食から、おいしく食べる長期保存食」をテーマに、ごはんや丼、おかず、パン、お菓子など約30種類がコーナー展開されています。災害時の非常食としてだけでなく、忙しいときやアウトドアでの食事など、普段のメニューに使おうという考え方に共感。

多彩なメニューを展開する「イザメシ」@小田急百貨店新宿店

京王百貨店新宿店では、防災のセレクトショップ「SEISHOP(セイショップ)」が商品を展開していました。その中で目をひいたのが、備蓄食の「サバイバルフーズ」。なんと保存期間が25年!です。「クラッカー」「野菜シチュー」「洋風とり雑炊」「チキンシチュー」「洋風えび雑炊」の5種類で、大缶は10食相当、小缶は2.5食。25年も保存がきくなら、賞味期限を心配する必要もなさそうです。

25年保存できる「サバイバルフーズ」@京王百貨店新宿店

25年保存できる「サバイバルフーズ」@京王百貨店新宿店

「イザメシ」も「サバイバルフーズ」も、日頃から食べているメニューである点がとても身近に感じられます。一方、従来の非常食には、どうやって食べるの?どんな味がするの?というイメージがありました。非常時にこそ、食べ慣れた味を口にすることで、平常心を取り戻せるのかもしれません。

無印良品が提案する、「いつものもしも」

日々の暮らしの中に「備え」を組み込み、「標準装備」することを提案しているのが無印良品です。普段から何気なく利用している無印良品の商品には、実は「くらしの備え」への視点があふれています。

避難所を体験できるブース

避難所を体験できるブース

東京ビエンナーレのソーシャルプロジェクトの1つ「災害対応力向上プロジェクト」が、「MUJIcom 武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス」で開かれていたので、行ってみました。入口には、ダンボールベッドなどの防災用品の展示や事例集が並び、避難所体験のイベントも予定されています。

自宅避難と避難する場合のポイント

自宅避難と避難する場合のポイント

店内には、「備え」について様々な情報が書かれた大きなパネルがいくつも展示されています。例えば、自宅避難できるときに役立つ情報として、①自宅避難用必需品 ②ローリングストック法 ③節水してお米を炊く方法④サバイバルトイレの作り方。避難するときに役立つ情報として、①持出品チェックリスト ②持って行かないと困るモノ ③避難スイッチを決める ④ペットのしつけと事前確認。いずれもチェックリストとイラストでわかりやすく解説されています。自宅か?避難所か?は判断に迷うポイントなので、どちらも重要ですね。

お湯を沸かすカセットコンロは必須!

お湯を沸かすカセットコンロは必須!

「もしものごはん」のコーナーには、いつも買っているレトルトカレーやフリーズドライのスープが並び、これらを常備しておけばいいことを確認。また、お湯を沸かすカセットコンロとカセットボンベも必須ですね。これらの情報は、「くらしの備え。いつものもしも」にありますので、ぜひチェックしてみてください。

「非日常」ではなく「日常」でとらえる防災

防災を「日常」でとらえよ!と強く主張されているのが、国際災害レスキューナースの辻直美さんです。昨年3月11日に、“自分を守る「防災ポーチ」”という辻さんが書いた新聞記事を見つけたのがきっかけ。一晩程度は安全で衛生的に過ごせるだけの必需品をポーチに入れて常に携帯しようという内容でした。その記事を読んで以来、私も常備薬とコンタクトレンズは常に携帯しています。もっと詳しく知りたいと買い求めたのが、『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)です。

具体的なアイディア満載の『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)

具体的なアイディア満載の『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)

防災を「特別」「非日常」ではなく、「日常」ととらえれば、高い防災グッズを買わなくても、100均グッズで十分!「備え=ものを買う」ではありません!という辻さんの言葉は、防災へのハードルをかなり低くしてくれました。昨秋には『レスキューナースが教える コロナ×防災マニュアル』(扶桑社)、今年6月には『100均グッズで作れちゃう!防災ハンドメイド』(KADOKAWA)を出版され、コロナ禍での様々な知恵やコツを伝えています。常にネガティブな気持ちにならないよう「オモロク生きる」「笑う」「好きなものを食べる」「よく寝る」といった言葉がポイントの最後にある点にも強く共感!防災を特別なことではなく、自分を守る毎日の習慣にしていきたいものです。

【告知】

第2話「採れたて野菜をその日に食べる!ミニファームでもなかなかの収穫でご紹介したwarmerwarmer代表の高橋一也さんがNHKの「最後の〇〇」にご出演されます!日本古来より伝わる「在来野菜」についてMCの草彅剛さんと共に語りますので、こちらもぜひご覧ください!

 

●9月10日(金)

[NHK BSプレミアム・4K同時放送]

午後10:00~10:59 最後の〇〇


東京自産自消

文・藤本真穂

ベランダと貸農園で栽培中の野菜を通して“食”を考える会社員。脚本家・向田邦子さんの暮らしを愉しむ生き方が理想。

プロフィール写真

photo by Wataru Goto