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冷えによる不調に! 植物療法「フィトセラピー」で心と体を整える方法

コロナの感染拡大に暑さも加わって、冷房の効いた室内にいる時間が長くなっている人も少なくないのでは? 冷えた室内で冷たい物ばかり食べていると、体が冷えて様々な不調の原因になってしまいます。今回は、植物療法士である池田明子先生に、植物の力を活用した「フィトセラピー」で、体を温め、不調を予防する方法を教えていただきました。

フィトセラピー

体を温めて自然治癒力を高める

夏は暑い屋外と冷えた室内の温度差で、自律神経のバランスを乱しがちです。暑いと体は副交感神経の働きで血管を拡張して、熱を逃がそうとします。一方、冷えると交感神経優位になって血管を収縮させ、熱をため込もうとします。温度差が激しい場合にはこの切り替えによりエネルギーが消耗し、ホルモンや免疫系にまで様々な影響が現れてきます。

 

フィトセラピー(植物療法)は、植物がもつ力を借りて、自律神経の調整に役立てるなど、心身の自然治癒力を高める療法。今回は体を温めて癒やす、ハーブを使った方法をご紹介します。

ハーブティーで体の中から温める

植物の有効成分を体に摂り入れるのに最も手軽な方法がハーブティーです。葉や花、種子や根などから植物の有効成分を熱湯で抽出するもので、基本はホットか常温で飲みます。夏のおすすめは、ダンディライオンのハーブティー。暑さや温度差でエネルギーを消耗しやすい夏は、肝臓にも負担をかけてしまっています。体を温める作用に加え、強肝作用もあるダンディライオンは「たんぽぽコーヒー」で知られていますが、ミルクティーにしてもおいしいです。この他、美容茶として有名なルイボスは、マグネシウムや亜鉛などミネラルをバランスよく含み、抗酸化に働くと共に、冷えやむくみの解消にも役立ちます。

※胆道閉鎖症、重篤な胆嚢炎、腸閉塞などの疾患がある方にはダンディライオンは適しません。

ハーブティー

<ハーブティーを効果的に飲むポイント>

□ 熱湯で淹れる

□ 温かいうちに飲み切る

□ 1日3回くらいに分けて習慣的に飲む

□ ゆっくりと味や香りを感じながら飲む

温湿布で体の外側から温める

熱と共にハーブの有効成分が皮膚を通して体に働きかけます。さらに、よい香りで心もリラックス。冷え取りには大きな血管の通る首の後ろのやや下を、消化器系の不調にはお腹周りを温めます。

ハーブ温湿布1

<ハーブ温湿布の方法>

●おすすめのハーブ:ローズ、ジャーマンカモミール、ラベンダーなど

 

1. 洗面器にドライハーブを入れて熱湯を注ぎ、3分くらいおく。

2. 1に棒状に丸めたタオルを浸す。湯が熱いので絞れるように両端は浸さず容器の外に出しておく。

3. 絞った温かいタオルを肌にあてる。上から乾いたタオルを重ねるとより効果的。

ハーブ温湿布

全身の温め効果もある「ハーブ部分浴」

全身浴はもちろんですが、手浴や足浴も全身の血流を促して体を温め、安眠を促します。部分浴は暑い時も手軽にできるのでオススメ。よい香りで心もリラックスさせましょう。

ハーブ手浴

<ハーブ手浴・足浴の方法>

●おすすめのハーブ:ローズ、オレンジフラワー、ラベンダーなど

 

1. 洗面器にドライハーブを入れ、熱湯を注ぎ、まずは蒸気で立ち上る香りを味わう。

2. 湯が冷めてきたら足し湯をして、湯量と温度を調整して手(足)を浸す。

監修/池田明子先生(いけだ・あきこ)

植物療法士、ソフィアフィトセラピーカレッジ 校長、西九州大学客員教授。臨床検査技師として病院勤務を経験後、自然療法を学ぶ。2006年、植物療法士とハンドケアセラピストの養成校を設立。全国各地で講座を主催。近年は大学や専門学校と共に認知症予防や介護分野での有効活用の普及活動をしている。夫は俳優の梅沢富美男、2女の母。