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第11話 夏のミツバチはいろいろ大変!

自粛生活が続く中、「外に出て太陽の光を浴びたい!」「体を動かしたい!(でも運動はイヤ)」という欲求を解消すべく2021年の春から参加した、有機・無農薬農業と養蜂を教えてくれる農教室。農業・養蜂で初めて触れる自然界の不思議、生きる知恵、そして新しい生き方の模索。セルフドクター編集室の横山が、自らの体や心で得た学びをシェアしていく連載企画です。

夏のミツバチはいろいろ大変!

ミツバチは夏も大忙し

春に比べて蜜源となる花が少なくなる夏。それでもミツバチたちはせっせと花粉を集めている。農教室で育てているひまわりやかぼちゃの花にもミツバチの姿が。よくよく見るとセイヨウミツバチ(つまりよその子)だったりする時もあるが、とにかく応援したくなる健気さだ。そんなミツバチもやはり暑さマックスな日中は外出したくないようで、朝と夕方が活動の中心らしい。そうやって頑張って蜜をためても、気温が高いとせっかく作った巣が柔らかくなり、重さに耐えきれずに落ちてしまうこともあるそうだ。

人間と同じくミツバチだって暑いのは苦手

今年の夏も暑かった……。農教室で2時間程草むしりをすれば、体重が1キロ近く減ってしまう。もちろん水分補給はしているが追いつかないくらい汗をかく。この暑さにはミツバチたちもきっとうんざりだ。

 

養蜂の活動は月に一度だが農教室は毎週あるため、農教室の前後に必ずミツバチの様子を見に行く。春は巣箱の入り口で日向ぼっこをしているようなミツバチの姿が見られたが、夏は様子が一変。朝から巣箱の入り口にはウジャウジャとミツバチが群がっている。そりゃかなりの数のミツバチが同居しているのだから、朝とはいえ巣箱の中はすでに暑いはず。巣内の密度を下げて涼んでいるらしい。

巣の入り口から巣箱につながる木の洞にまでミツバチがびっちり。奥の巣箱には日よけのすだれがかけてある。

巣の入り口から巣箱につながる木の洞にまでミツバチがびっちり。奥の巣箱には日よけのすだれがかけてある。

農教室の巣箱は、桜の木の下と柚子の木の下に設置されている。これは、夏に葉が茂って直射日光を遮ってくれることを期待してのもの。とはいえ全ての日差しを避けようもないので、すだれなどを垂らして対処する。巣箱の適正温度は約35℃というが日よけ程度で何とかなるものなのだろうか。

 

ミツバチたちもやはり「暑くて耐えられん!」と必死なようで、巣の中の温度を保つための「扇風行動」が見られることもある。巣の入り口で羽根を動かして空気の入れ替えを行うもので、セイヨウミツバチは巣に頭を向けて羽ばたいて内部の空気を外に流し、ニホンミツバチは巣にお尻を向けて羽ばたいて外の空気を内部に送るという。また、水を巣に運んできて、それを撒いて羽根で風を送り、気化熱で温度を下げたりもするのだとか。このあたりの行動は、うちわや打ち水といった人間の涼み方にちょっと似ていて面白い。

でっかくて怖いアイツをどう撃退するのか

そして夏といえば、ミツバチの恐ろしい敵が襲来してくる季節でもある。その名はスズメバチ。スズメバチはミツバチを食べてしまう、本気の肉食系である。人間も2回刺されたらアナフィラキシーショックを起こして命の危険があるといわれているが、実際はその可能性はあまり高くないようだ。それでも遭遇すると大きくて怖い。

 

スズメバチが巣箱に近づくと、巣箱の入り口に門番のミツバチたちが集まり、一斉に体を震わせて威嚇する。時には集団で襲い掛かってスズメバチを包み込み、体を震わせて内部の温度を上げて熱で殺してしまうこともある。その温度は50℃近くにまで達するというから、ミツバチがその気になれば人間だって勝てないだろう。この攻撃に加わったミツバチは熱の影響で余命が短くなってしまうという研究報告もあった。ちなみにセイヨウミツバチはこの攻撃ができない。まれに敵を包み込むことはあっても内部温度がニホンミツバチほど高くならず、駆除まで至らないらしい。

 

養蜂をやっているからには、我々もミツバチに加勢しなければなるまい。ということで、巣箱の入り口にはスズメバチが入れない幅の金属製のゲートを設けた。スズメバチがミツバチの巣に入ると、幼虫まで食べられてしまうのでなんとしても侵入を阻止しなければいけないからだ。

ゲートと門番が守る正面入り口を諦め、脇の隙間を狙うキイロスズメバチ(右下)。ミツバチよりこんなに大きい。

ゲートと門番が守る正面入り口を諦め、脇の隙間を狙うキイロスズメバチ(右下)。ミツバチよりこんなに大きい。

それに加えて「スズメバチトラップ」も設置した。材料は、グレープジュース、砂糖、酢、酒。これらを混ぜて空いたペットボトルに入れて巣箱の近くに吊るす。ペットボトルの上部にはH型に切り込みを入れ、下の部分は内側に折り返し、上の部分は外側に折り返す。こうすることで、雨除けと忍者返しがついた入口ができるというわけだ。

巣箱の周りに設置したスズメバチトラップ。美味しそうな甘い香りが漂って、他の虫まで寄ってきそう。

巣箱の周りに設置したスズメバチトラップ。美味しそうな甘い香りが漂って、他の虫まで寄ってきそう。

吊るしてから2週間後、液体が無くなったトラップの中。これはオオスズメバチ?キイロスズメバチ?

吊るしてから2週間後、液体が無くなったトラップの中。これはオオスズメバチ?キイロスズメバチ?

そして、もっと恐ろしい駆除方法まで目の当たりにすることに……。ある日、スズメバチの行動を観察していたら、近寄ってきた女性の先輩が「スズメバチを見つけたらつかまえなきゃ~」と言うなり近くにあった虫取り網でサッと捕らえて、網の上からあっという間に踏みつぶしていた。「今度やってみてね」って、私どんくさいのでそれは無理です!殺る前に殺られます!

【農教室一年生 今回の初耳ポイント】

●ミツバチだって暑い日中は出かけたくない

●ミツバチの暑さ対策は「うちわ」と「打ち水」?

●スズメバチは甘い香りに弱い

農教室一年生

文・横山珠世/セルフドクター編集室