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【AND PET】言葉で通じ合っていますか?

猫の言葉を翻訳するアプリが話題に

最近、猫の鳴き声を人間の言葉に翻訳してくれるアプリが話題になっています。20年程前にも同様の機能を持つおもちゃが発売されましたが、今はアプリ。時の流れと技術の進化を感じつつ、早速インストールして使ってみることにしました。

 

アプリを立ち上げてスタンバイしても、なかなか鳴いてくれない我が家の猫、ぼたん。どんな時によく鳴くかを思い出し、お腹を触ってみました。お腹を触られるのがキライなぼたん、鳴き声もイライラしている雰囲気だったので「やめて!」と言っているのだろうと想像していたのですが、翻訳ではまさかの「体調どう?」。実はこの時、私は体調を崩していたのでホロリとしてしまいました。飼い主、チョロいです。

甘えん坊な言葉が並ぶ中に「獲物を捕まえる!」。獲物って?

先日テレビ番組で「ごはん」や「おはよう」と聞こえる猫の鳴き声を翻訳していましたが、必ずしも「ごはん」や「おはよう」に近い内容ではありませんでした。鳴き声がどのように聞こえるかは「猫が人間の言葉をしゃべってくれたらうれしい」という人間側の思いがあるので、さもありなんという結果でしたが、アプリによる翻訳が果たして正解かどうかは難しいところでしょう。

 

このアプリでは、翻訳後にその内容が正しいと思われるかどうかを確認するメッセージが出るので、そこで修正を重ねれば精度が上がっていくと思われます。しかし、飼い主のバイアスがかかってしまうのは避けられません。また、翻訳内容を差し替える場合も予め用意された言葉のリストから選ばなければならず、もう少し語彙を豊富にするか、フリーワードで入力できるようになればいいなと思います。

 

翻訳の正しさはさておき、鳴かせるために必死で猫を煽る飼い主の声を拾わない点や、翻訳した言葉と共に猫の鳴き声も記録される点は評価できますし、飼い主の思いとかみ合わない内容が多いのもむしろ面白く感じられます。猫と暮らす友人たちも結構楽しんでいるようです。

猫や犬は人間の言葉を理解しているのか

例え言葉は通じなくても、話しかけることは猫に気持ちを伝える大切なコミュニケーションになると考えられていますが、果たして猫は人間が発する言葉の意味を理解しているのでしょうか。

 

ぼたんの反応から推察すると、自分の名前と「かわいいね」「いい子だね」といったポジティブな言葉は理解していると思われます。噛みついたりソファーで爪とぎをしたりした時に「痛い」「ダメ」と言うと、サッと止めて目を逸らすところを見るとそれらの言葉の意味も分かっているようです。ただし、ポジティブな言葉はより高く優しく、ネガティブな言葉の場合はより低く強い発生になるため、言葉そのものではなくトーンで判断している可能性もあります。

きちんと待機する警察犬。猫ではなかなかこうはいかないでしょう。

犬は「お座り」や「待て」、「伏せ」といった人間の出す指示に従える場合が多く、訓練を受けて警察犬や盲導犬など人間を支えてくれる犬もいます。これまでの研究から、犬は、声のトーンと言葉の組み合わせや、さらにその時の人間の行動も含めて人間の言葉を判断していると考えられています。

 

猫より犬の方が人間の言葉を理解する能力に長けているのか、はたまた気まぐれな猫は言葉を理解した上でこちらの意図を汲んでくれないのか、それは分かりません。ぼたんも時々「お手」をしてくれます。できると飼い主がとても喜んで褒めることから、「お手をする→たくさん撫でてもらえてうれしい」という図式が彼女の中で成立しているからだと思われます。その一方で、以前私が体調を崩した時、ベッドの中から「助けて……」とぼたんに手を伸ばしたところ、後ずさり、走り去っていったこともありました。もちろん本気で助けてもらいたかったわけではないのですが、ぼたんはどんな思いであの行動をとったのか気になるところ。飼い主の弱々しい声と聞いたことのない言葉、そしていつもと違うシチュエーションに「ヤバい」と思ったのでしょうか。助けを求められていると分かった上で「関わり合いになりたくなーい!」と逃げていったのだとしたら、ちょっと切ないです。

文・横山珠世/セルフドクター編集室

※コラム「AND PET」は隔週月曜日に配信します。

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