

自分の手にとって買える産直野菜

遠くからでも目に入る「食べチョク」のロゴマーク
日本最大の産直通販サイト「食べチョク」が移動型の八百屋「食べチョクカー」を始動したというので、早速行ってみました。場所は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で馬術競技の会場となったJRA馬事公苑のけやき広場。世田谷通りから広場に向かって歩いて行くと、お馴染みのロゴの入った「食べチョクカー」がみえてきました。
「食べチョクカー」の説明が書かれたポスター
並んでいるのは、長野県東御市のシャインマスカットやバターナッツかぼちゃやヤーコンといった珍しい野菜など5ケース。商品を買うと生産者と繋がるQRコードも受け取れるので、リピート購入が気軽にできます。買った人と生産者を直接繋ぐことも、「食べチョクカー」の大事な役割ですね。「今日は初めての出店で、まだまだ商品は少ないですが、食べチョクを知っていただく機会になったら嬉しい」とスタッフは話します。毎週水曜日の午後3時からはこの場所に出店し、他の曜日は中央区や葛飾区のマンションの敷地内等へ出店するそうです。

不揃いシャインマスカット1,000円。甘くて新鮮!一気に完食。
産直通販サイトで購入すると、鮮度の高い野菜や果物が届くのでとてもありがたい反面、量が多いことと送料がかかる点がどうしてもネックです。その点、この「食べチョクカー」なら単品で買える上に、様々な地域から届く珍しい商品を実際に手にとって確認できる点が大きなメリット。この「食べチョクカー」の登場で、新たに「食べチョク」を知る人が増えていくことでしょう。3カ月限定のテスト販売の結果によっては、リアル店舗の開設もどうやら視野に入れているようです。コロナ禍で、生産者をサポートする仕組みをどこよりも早く作り上げた「食べチョク」のさらなる進化が楽しみです。
山梨県北杜市の野菜を、リアル店舗で販売

イエローぺージセタガヤは、昼は八百屋で夜は呑み屋
世田谷線の松陰神社前駅から徒歩5分のところにある「イエローページセタガヤ」は、産直野菜を販売する店舗です。こだわり野菜を詰め放題!というユニークな売り方が話題になっていたので、体験してきました。店に入るとS(1,100円)、M(1,500円)、L(1,800円)の3種の袋が目に入り、スタッフから「好きな野菜を袋に入れてください。まず大きな野菜を入れて、隙間に小さな野菜を詰め込むとたくさん入りますよ」とありがたいアドバイス。
表面に蜜が滲むさつま芋、みるからに甘そう!
Sサイズの袋を手にして、まずは並んでいる野菜をひと通りチェック。あれもこれも入れるとすぐに袋がパンパンになるので、長ナスをまず3本とピーマンを3個、その隙間に万願寺をギューギューと詰め込みます。「袋のチャックをしっかり締める」がルールなので、はみ出た万願寺3本は断念。これで1,100円。何がいくらなのかという情報は1つもありませんが、詰め放題の面白味のおかげで、全く気になりません。野菜の多くが山梨県北杜市のものだったので、「東京から移住する人が多い地域ですよね」と言うと、「そうですね、生産者さんもほとんどがここ10年で移住した方々ですよ」とのこと。2日に1度、北杜市から野菜が届くそうです。

S袋に詰め込んだ買った北杜市の野菜
規格外野菜の「みたあじ」もリアル店舗をオープン

10月7日にオープンした、リアル店舗「やおや みたあじ」
「イエローページセタガヤ」をあとにして、松陰神社前駅へ向かう途中の商店街に、以前にもご紹介した「みためとあじはちがう店」 がリアル店舗「やおや みたあじ」をオープンしたので、こちらもチェック。大田市場から直送の野菜や果物が並び、規格外野菜も通販同様にお手頃価格で売られていました。入り口に並ぶおすすめ商品をみて、「あら、安い!」と入っていく人もいましたが、オープンして間もないせいか、まだお客さんはまばらです。
さつま芋は、ここでも目玉商品!
コロナ禍で、野菜や果物の流通を何とか止めないために始まった産直通販が、ここにきて移動販売やリアル店舗を相次いでスタート。緊急事態宣言がようやく明けたこともあって、若干気持ちも軽くなり、スタッフと会話をしながら商品を買う楽しさを久しぶりに味わいました。スタッフの向こうには、遠くの生産者の顔も見えてきます。八百屋で野菜や果物を買う習慣が再び当たり前になれば、生産者と生活者の距離はまた1歩縮まるような気がします。そういえば、近所に魚屋もオープンしました。生鮮3品を昔のように個店で買う時代がまた訪れるのでしょうか。
文・藤本真穂
ベランダと貸農園で栽培中の野菜を通して“食”を考える会社員。脚本家・向田邦子さんの暮らしを愉しむ生き方が理想。

photo by Wataru Goto