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【AND PET】老後を考えたことはありますか?

これからの人生、いつまで猫と暮らせるか

世界でもトップクラスの日本人の平均寿命。厚生労働省「令和2年簡易生命表の概況」を見ると、男性の平均寿命は 81.64 年、女性の平均寿命は 87.74 年でした。前年と比較しても男性は 0.22 年、女性は 0.30 年上回っており、今後もまだ延びていくと推計されています。

(出典)農林水産省「平成30年度食育白書」

これから先の人生も長いなぁと思いながらも、自分がどのような老後を過ごすのか具体的なイメージはまだできていません。いつまでも元気で、誰にも迷惑をかけずに最期を迎えたいとは誰しもが思うことでしょうが、そうもいかないのが世の常。介護の必要のない健康寿命と平均寿命を比較すると、その差は男女とも10年前後あるようです。老人ホームなどの施設に入居することも想定しておかなければなりません。

 

そんな時に心配になるのが、猫のことです。一緒に暮らしているぼたんは現在11歳。自分の年齢を考えると、施設に入居する前にお別れをしている可能性が高いのですが、今後、ぼたん以外の猫と暮らしたいと思った時にどうするか。猫と暮らす友人たちとの会話にも、「これから先、子猫を迎えることができるだろうか」という話が出るようになってきました。

 

犬や猫の寿命を考えると、高齢者が子犬・子猫を引き取っても世話をしきれなくなる可能性が高くなります。譲渡対象者に年齢制限を設け、制限を超えた年齢の方には成犬・成猫のみを譲渡している保護施設も多くみられます。命を預ける側にも預かる側にも責任があるので、当然のことでしょう。

猫と暮らせる老人ホーム

そんな時に飛び込んできたのが「猫と暮らせる老人ホームが誕生」というニュースでした。新潟県新潟市にオープンした「はあとふるあたご住宅型有料老人ホームおぎかわ」です。

 

この施設は、ペットを理由に入所を諦めてしまうことや、社会からの孤立などを背景にペットに依存し多頭飼育崩壊を引き起こしたりすることを防ぎ、入居者とペットの両方の福祉を実現し、ペットを介しての交流活動を行うことで入居者のQOLを向上させることを目指しています。ペットの世話については新潟医療福祉大学「ねこ部」の学生と連携していくとのこと。施設内は、匂いや傷がつきにくい床・壁、ペットが乗っていると知らせるエレベーターボタン、ペット用の浴室など、ペットとの暮らしに配慮した造りになっています。

現在、入居可能なのは猫だけ。そのうち犬もOKとなるのでしょうか。

このニュースが流れてきた時、友人たちに教えたところ「いいな!」「近所に欲しい!」という声が続出。恐らく同じように思った方は多いのではないでしょうか。というのも、ここが「日本海側初のペット入居可の有料老人ホーム」とうたっているように、ペットと暮らせる施設はとても少ないからです。

 

施設スタッフの立場になれば、入居者だけでなくペットへの対応も加わるし、入居者同士のトラブルの原因にもなりかねず、負担が増えることが容易に想像できます。そう考えるとなかなか開設できるものではないでしょう。それでも誕生したこの施設が、多くの人と猫が幸せになる場所になるといいなと思います。

犬や猫が高齢者に与えるメリット

猫も信頼関係ができている人間に触ってもらうと幸せを感じるのだとか。

犬や猫と暮らすことで、高齢者には以下のようないろいろなメリットがあると考えられています。

 

・生活のリズムが整う

・活動量が増え足腰が丈夫になる

・孤独感や疎外感がなくなる

・社会的な接点が生まれる

・生きがいや安心感が得られる

・ストレスが和らぎ情緒が安定する

・認知症の症状が改善する

・血圧が安定する

 

これらのことが影響するのか、ペットを飼っている人は医療機関を利用する回数が少ない傾向にあるといいます。

 

また、老人ホームや介護施設などでは動物との触れ合いで癒しを得る「アニマルセラピー」を取り入れている所も。入居者の笑顔が増えたり、リハビリへの意欲が高まったり、コミュニケーションが生まれたりといった効果が出ているそうです。

 

人間のメリットばかりを取り上げたのでエゴと受け取られるかもしれませんが、このような点からも人と動物がお互いに幸せに過ごせる老後の在り方が見えてくるような気がします。

文・横山珠世/セルフドクター編集室

※コラム「AND PET」は隔週月曜日に配信します。

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