

毎年恒例のそば祭りとは
11月中旬、そば祭りが行われた。そば部会(養蜂と同様の部活動)のメンバーが指導役となり、農教室を運営する手賀沼トラストの会員と農教室の参加者が生徒となってそば打ちを行い、食べるイベントだ。本来、そば粉は農教室でその年に育てた物が使われるが、今年はそばを栽培しなかったため昨年採れた物を使うという。また、3つのグループごとに時間帯を分けて密集を避け、使い捨ての食器を使うなど感染症対策もとられた。
実は自分で年越しそばを打ったことも何度かあるのだが、いつも見た目も味もイマイチ。今年こそは!という思いで参加した。
そば粉を混ぜ、こねてかたまりにする
指導役2名、参加者5名のチームに分かれてそば打ちのスタート。最初にそば粉と中力粉をふるいにかける。割合は7対3で、今回のそば粉は400g。サラサラとした粉を、平泳ぎの時のように手を動かしながらまんべんなく混ぜ、水を少しずつ足しては混ぜることを繰り返す。最初はポロポロと小さなかたまりができるが、根気よく混ぜていくうちに、徐々にかたまりが大きくなっていく。この時点でもまだ手のひら全体でこねるという感じではなく、指を使って混ぜるのがコツ。水が入ると、だんだんそばの香りが立ってくるのも感じられた。

どっしりとした風情も素敵な木製のこね鉢。欲しい……。
かたまり同士がくっつき合うようになったら、1つにまとめて力を入れてこね始める。水は300㎖ほど用意していたが、結局使い切らなかった。その日の湿度なども関係するので、感覚を経験でつかんでいくしかなさそうだ。難しい。
「こねる回数は200回が目安」を合言葉にみんなで交代しながらこねていくが、最初は重く硬かったものが徐々になめらかになっていくのが分かる。陶芸をやっているという参加者は、こね方が陶芸の菊練りのようで美しい。外側から中央に練り込み、空気を押し出して水分と土をなじませる菊練りは、陶芸だけでなくそばのこね方にも適しているという。
<自己流の反省>
これまでの私は粉の割合がいい加減だったり、水を一度に大量に足したりしていた。つまり、作業が雑。また、水を加えたらすぐにこね始めてしまっていた。つなぎに山芋を入れるのは必須だと思っていたが、そんなことはないようだ。
そばは四角く伸ばす
ひびやシワなどがどんどん無くなりツルンとした見た目になったら、平たくして打ち粉を打ったのし板の上に移し、中央から外側に向けて伸ばす。ピザ生地の伸ばし方もこんな感じだろうか。ピザのSサイズくらいの大きさまで伸ばしたら、めん棒の出番だ。

まずは手で伸ばしていく。ポイントは厚さが均等になること。
丸い状態を保ちつつさらに伸ばしていき、Lサイズくらいの大きさになったらめん棒に巻き付ける。巻き付けた状態のままのし板の奥まで転がして、続いて転がさずに巻き付けたまま手前にスッとひく。この時、力はあまり入れない。めん棒の重さで徐々に伸びていくそうで、無理に力を入れると厚さや形が崩れてしまうのだとか。

めん棒に巻き付けて、奥に押したり手前に引いたりして伸ばしていく。力は入れない。
時々巻き付ける方向を縦横で入れ替えながら、この動作を繰り返していくとそばは四角く伸ばされていく。最後に形を整えたら、包丁の幅に合わせて折りたたむ。

ちゃんと四角になるのがちょっと不思議。でも、これなら切りやすい。
<自己流の反省>
めん棒に巻き付けず、伸ばせる方向に常に力いっぱい広げていたため、いつも端の方は薄くなってボロボロ。切る時も苦労する。むやみに伸ばすのではなく、丁寧に伸ばしていくようにしよう。
こま板で押さえながらそば切り包丁で切る
折りたたんだそばをまな板に移し、専用包丁の刃のつけ根をしっかりと持ち、刃をひいたりせずにまっすぐ下ろして切っていく。この時、そばを押さえつつ包丁に添えるのがこま板と呼ばれる物。包丁でそばを切ったら、その刃を少し傾けることでこま板をずらしながらリズムよく切っていくと太さが揃うという。が、そう簡単にできるものではないことを痛感。包丁に高さがあるためどのくらいの太さで切っているのか確認しづらく、何度も空振りしたり極太に切ったりを繰り返してしまった。

左手で持っているのがこま板。包丁を持つ指が当たらないように手前の一部を削ってある。
切ったそばは振るって打ち粉を落とす。打ち粉が多くついたままゆでると、ベタっとしてしまうそうだ。ゆでるのは、なんとかまど! 普段は煙突を外してカバーをかけているので、こんなところにかまどがあるなんて知らなかった。
火加減やゆで加減が難しそうだが、経験豊富な「ゆでマスター」がいて、引き上げるのにちょうどいいタイミングを教えてくれる。すごい。

子どもの頃、祖父の家にあったなぁと懐かしく思う。薪の炎が暖かい。
打ちたて、ゆでたてのそばは、水でしめて、そば部会の皆さんが用意してくださったそばつゆとねぎでいただいた。美味しくないわけがなく、「もっと食べたい」という声もチラホラ。コロナ禍でなければ日本酒も楽しむのだとか。来年こそは!

ゆでる前のそば。「太さにバラつきがあるそばなんてお店では食べられない」とみんなポジティブ。
<自己流の反省>
長さの短い普段使いの包丁で切るため何度も折りたたんでしまい、折り目からちぎれたりくっついたりして困っていた。包丁など専用の道具は揃えるだけの価値があるのだな。いつもニュルッとしたそばが出来あがっていたが、打ち粉をやたらと使ってきちんと落としていなかったのが原因か。
【農教室一年生 今回の初耳ポイント】
●雑・目分量・せっかちは禁物!
●伸ばす時は力まかせでなく丁寧に
●専用の道具は素人こそ揃えるべし
文・横山珠世/セルフドクター編集室
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