· 

冷え対策、美肌、風邪予防に! 身近な材料で作れる「ハーブチンキ」で心身を健やかに

いよいよ冬本番、植物の力を活かした「チンキ」で体を温めてみませんか?心身を整えるのに有効なチンキの魅力や作り方を植物療法の専門家・池田明子先生に教えていただきました。

ハーブの有効成分がたっぷり摂れる「ハーブチンキ」

「チンキ」とは、ハーブや果実などを主にアルコールを含む液に漬け込み、植物の有効成分を抽出させたエキス(液剤)のこと。お湯で有効成分を浸出したハーブティーでは主に水溶性の成分が溶け出し、オイルにハーブを漬け込んだ浸出油では主に脂溶性成分が溶け出すのに対して、チンキには水溶性と脂溶性、両方の成分が溶け出しているのが特長といえます。薬酒として飲む、うがいや入浴に使うなど幅広く使え、植物療法では健康増進や美容目的で頻繁に用いられるアイテムです。

 

植物療法とはフィトセラピーとも呼ばれ、アロマセラピーやハーブ療法などを含む、伝統的な自然療法。植物の力を用いて、人が本来持っている自然治癒力に働きかけ、心身のバランスを整えて生活や健康に役立てています。さかのぼること古代ギリシャ、古代エジプト時代から、人は体によい植物の存在を体験的・伝承的に知り、活用してきたのです。

ゆっくりと心身を整えてくれる植物の力

地に根を張って動かない植物は、直射日光や虫、菌などの外敵から身を守るため、色や香りなどの「フィトケミカル成分」をつくり出します。よく知られているのがポリフェノールやカロチノイド。人が植物を摂取すると多種多様なフィトケミカル成分が体内で相乗的に働き、心や体を整えるのに役立っています。

 

フィトケミカル成分には自律神経やホルモンバランスの調整作用があり、血行を促進させ、冷えの改善に役立ちます。ただし、その効果は医薬品よりもゆっくり。不調に陥ってからではなく習慣的に取り入れてみて。もちろんチンキで使うアルコールも血行促進に作用します。

 

<フィトケミカル成分の主な作用>

●抗酸化作用……細胞を老化させる活性酸素の害を防ぐ

●心理作用……香りや色など五感を通じて記憶や心に働きかける

●デトックス作用……体内の老廃物、有害物質の排出を助ける

●抗菌・抗ウイルス作用……有害な菌類に抵抗し、常在菌のバランスを調整

●生体リズム調節作用……心拍、ホルモン分泌、睡眠、食欲などのリズムを整える

ハーブチンキの作り方を紹介

アルコール度数約40%の蒸留酒(ウォッカやホワイトリカーなど)を使用します。ジンジャー以外は全て乾燥材料での分量です。

 

①煮沸洗浄したガラス容器(350mℓ容器を使用)に分量のハーブ等を入れる。

②容器の8分目ぐらいまでウォッカを注ぐ。

③フタをして冷暗所で2週間〜1カ月保存。1日1回容器を軽く振る。

④茶こしやガーゼでこして清潔な容器に移し、材料と作った日付を明記。

 

注意点:抽出期間の目安は、固い果実や木の実類は1カ月、ハーブは2週間〜1カ月。漬け過ぎると雑味が出ます。完成したら冷暗所で保存し(冷蔵庫でも可)、味の落ちないうちに使い切りましょう。

冷えや美肌に! ハーブチンキのおすすめの飲み方

飲用のタイミングや量にはご注意を。1日1回・5mℓ以下を目安に、食後や就寝前に飲みましょう。お湯割り、ソーダ割りなど飲み方のアレンジは自由です。

<おすすめレシピ>

●冷えに……ナツメ30g、ジンジャー(生をスライス)35g、ウォッカ適量

飲み方:チンキ5mℓに対して20mℓの湯で割る。好みでハチミツを加える。

 

●美肌に……ローズ5g、ローズヒップ10g、ラズベリーリーフ5g、ウォッカ適量

飲み方:チンキ5mℓに対して20mℓの湯で割り、好みでメープルシロップを加える。

 

●かぜ予防に……エキナセア5g、ウォッカ適量

飲み方:1回約5mℓをストレートで。飲みにくい場合は湯で割り甘みを加えて。

監修/池田明子先生(いけだ・あきこ)

植物療法士、ソフィアフィトセラピーカレッジ 校長、西九州大学客員教授。臨床検査技師として病院勤務を経験後、自然療法を学ぶ。2006年、植物療法士とハンドケアセラピストの養成校を設立。全国各地で講座を主催。近年は大学や専門学校と共に認知症予防や介護分野での有効活用の普及活動をしている。夫は俳優の梅沢富美男、2女の母。