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第19話 美味しく食べよう、収穫野菜!【後編】

前編はこちら

8カ月かけて育てたねぎ

思い起こせば、老眼の人には厳しいくらい小さな小さなねぎの種を蒔いたのは4月の初めのこと。それから約8カ月、とうとう収穫時期を迎えた。ねぎが育つのに、こんなに時間がかかるとは思わなかった。我々1年生は種蒔き以降の作業にはあまり携わらなかったが、苗が10㎝ほどに伸びたら間引きし、7月には定植、その後定期的に白く伸びた部分に土寄せて育ててきた物だ。

 

ねぎの白い部分は葉鞘(ようしょう)と呼ばれる部分で、土をかぶせてこの白い部分を大きく育てたのが白ねぎ。一方、白ねぎの中央部にある緑色の部分が葉にあたる葉身(ようしん)。青ねぎはこの葉身を大きく育てた物になる。白い部分に含まれる硫化アリルは、体を温める作用や、殺菌や抗酸化作用、血液をサラサラにする働きなどがあり、青い部分はカロテンやビタミンCが豊富。先日お会いした薬膳の先生も「冷えにはねぎがいい」とおっしゃっていたし、冷えや風邪が気になる季節でもあるので、たっぷりと食べようと思う。お気に入りは細切りチャーシューのねぎ和え(上の写真)。ねぎをあまり長く水にさらさずに辛味を楽しむのが好き。

ねぎも豊作。もっと細く育つことが多いのだとか。ちなみに千葉県は2020年のねぎの生産量で全国1位。

収穫の際は、ねぎから少し離れた所にスコップを深く差し込み掘り起こす。思っている以上に地中深くにもぐっているので、近く浅い位置で掘り起こすとねぎを切断してしまうので注意が必要。私は何本かバッサリと切ってしまった。すみません……。

またまた登場! 葉つきの人参

以前、間引きした物を美味しくいただいた人参も収穫。間引いた時はヒョロヒョロでうっすらオレンジ色に染まっていた根っこ部分が、しっかり「人参!」と主張するくらい大きく育っていた。

 

人参はビタミンAやカロテンが豊富なことで知られているが、実は葉の方が本体よりも栄養価が高いという。さすがに大きくなった葉は硬くて生で食べるのは難しいので、天ぷらやナムル、味噌汁などにしていただく。どれも葉を主役にしながら人参本体も少し加えると彩りがいい感じに仕上がる。葉は春菊に似た風味があるので、鍋に入れても美味しかった。

ここまで大きく育ちました。

<人参の葉っぱの収穫レシピ>

●人参の葉っぱのナムル

人参の葉っぱ…2本分

人参…1/2本

ごま油…大さじ1

酢…小さじ1

しょうゆ…少々

塩…少々

すりおろしにんにく…少々 

白いりごま…少々

 

1.人参の葉は長さ5㎝ほどにざく切り、人参は長さ5cmほどに細切りにする。

2.調味料を混ぜておく。

3.沸騰したお湯で1を茹でる。茎の根元の方は硬いので長めに、葉先と人参は後から加える。

4.3をお湯から上げ、水をきって2とあえる。盛りつけたら白いりごまを散らす。

農教室一年生の反省、そして来年への意気込み

修了式では証書もいただいた。学校なのだなと改めて思う。

この後も、餅つき、炭焼き、ミツバチの分蜂に向けた待ち箱の設置や巣箱の掃除などがあるが、農教室1年目としてのカリキュラムはこれにて修了。盛りだくさんの内容で、いろいろと楽しい経験をさせていただいた。

 

虫が苦手なことも克服できたし、農業に関する知識もできることも増えたけれど、右も左も分からないまま言われた通りに動くだけだったのは反省している。先輩たちは、質問すれば分かることは何でも教えてくれる人ばかり。遠慮をせずにグイグイいけばよかった。特に、農教室を運営するNPO法人手賀沼トラストの理事長で、残念ながら秋に亡くなられた遠藤織太郎先生にはしっかりとお話をうかがっておけばよかったと悔いが残る。また、教えてもらうことだけでなく自分でいろいろ調べることも、もっと必要だった。農教室に農業雑誌「やさい畑」や農業に関する様々な書籍が揃っているのも、先輩たちが積極的に学んできた足跡なのだろう。

 

でも、やり残したことがあるということは来年に向けての楽しみもあるということ。鍬の使い方をしっかりマスターしたいし、基本となる土づくりや、無農薬ならではの野菜の育て方についてさらなる知識を得たい。ミツバチの様子ももっとマメにチェックしたいし、ハチミツや野菜の二次産業化、三次産業化の道も探ってみたい。来春は2年生に進学予定。新たにどんなことが学べるか、今からワクワクする。

【農教室一年生 今回の初耳ポイント】

●千葉県はねぎの生産量トップ

●人参は本体よりも葉の方が栄養価は高い

●「やさい畑」は先輩たちのバイブル?

農教室一年生

文・横山珠世/セルフドクター編集室