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「尿もれ・お湯もれ・トイレが近い」にはコレ! 【座談会】聞きにくい女性の悩みに医師が答える

毎年3月1日から3月8日は「女性の健康週間」です。女性の健康づくりに欠かせない「フェミニンゾーン(外陰&腟)」のケアですが、尿もれや、生理用ナプキンのかぶれなど、フェミニンゾーンに悩みをもつ女性は意外と多いもの。なかなか人に相談できないあれこれを、女性医療のスペシャリスト、関口由紀先生に座談会形式でお聞きしました。今回は、前編・後編の前編をお届けします。

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<座談会の参加者>

Nさん(42):未婚、出産経験なし

Kさん(33):既婚、出産経験なし

Yさん(48):既婚、一児の母

尿もれ・お湯もれ・トイレが近い。それ、骨盤底筋群が弱っています!

Yさん:いきなり尿もれの話ですみません。産後、トランポリンで跳ねたり、激しい運動をしたりすると、尿がもれるようになりました。尿もれパッドを使ったりしているのですが、これって治るのでしょうか?

 

関口先生:「骨盤底筋群」って分かりますか? 恥骨と尾骨の間に張っているひし形の筋肉群で、靭帯・筋膜・筋肉・皮下組織でプレートを構成しているのですが、そこが出産や加齢、または閉経による女性ホルモンの減少で傷んだり弱くなったりすると、尿もれしやすくなります。

 

Kさん:私は尿もれではないのですが、お風呂から上がる時に腟からお湯が出るんです。これも関係が?

 

関口先生:それは元来骨盤底筋が柔らかいタイプですね。安産タイプなのですが、リスクもあります。尿もれする人も、腟にお湯が入ってしまう人も、「骨盤底筋トレーニング」をすることが大切です。

 

Y&Kさん:骨盤底筋トレーニング、教えてください!

 

関口先生:全身をリラックスして、お尻とお腹は動かさず、肛門をキューッと締めて、さらに腟と尿道を締めて、息を吐きながら上にグーッと持ち上げたら、5秒くらい維持して緩める。この単純な運動を1日朝10回、昼10回、夜10回と繰り返す。感覚が分からない場合は、お風呂で腟に指を第2関節くらいまで入れて、その指をキュッと締めて息を吐きながら上にグッと持ち上げてみましょう。抵抗のある人は、タオルをくるくる巻いて、フェミニンゾーンに縦に当てて、タオルをぎゅっと陰部で掴むようにするという練習方法もあります。

骨盤底筋トレーニングの方法

<ハンドタオルを使って行う方法>

①いすに座り、棒状に巻いたハンドタオルをフェミニンゾーンに当てる

②腟でタオルを掴み上げるように力を入れる

③朝10 回、昼10 回、夜10回行う

<お風呂で行う方法>

湯船の中で、腟に指の第2関節まで入れる。息を吐きながら、腟で指をキュッと締めて、上にグッと持ち上げるようなイメージで力を入れる。

Nさん:なるほど。私は子どもの頃からトイレが近くて困っているのですが、それも骨盤底筋が関係しているのでしょうか?

 

関口先生:おしっこは、大人の場合1日4〜8回くらいが健康的。少な過ぎてもダメですね。トイレが近い人は、膀胱に尿が少量たまっただけで行きたくなってしまうのですが、本来なら膀胱は広がるので、もっとためられる。尿意を感じた時に5〜10分、我慢する癖をつけるといいですよ。トイレに行きたいなと思ったら、骨盤底筋のトレーニングをして別のことを考えていると、尿意がすっと落ち着くことがあります。少しずつ間隔を延ばしていって、1日8回以下を目安にゆっくりと膀胱を広げていくこと。それも難しいという人には、のみ薬もありますし、膀胱の壁にボトックス注射をするという方法もだいぶ広まってきました。骨盤底筋トレーニングをしてもなかなか思うように生活の質が上がらないという場合はクリニックに相談してください。膀胱を刺激するカフェインや炭酸飲料・アルコール・シトラス系の飲み物も控えるようにしましょう。

監修/関口由紀(せきぐち・ゆき)先生

女性医療クリニックLUNAグループ理事長。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本東洋医学会専門医・指導医、博士(医学)、経営学修士。横浜市立大学の客員教授も務める。