ヘルス&ビューティ研究所
rport01 広東人参研究室
新発見!!広東人参の知られざる作用とは?
広東人参の由来
広東人参作用メカニズム
広東人参の作用
研究者インタビュー
Q&A
研究者インタビュー
広東人参には、肌の健やかさと美しさをひきだす、さまざまな働きと可能性が秘められています。
研究室では、植物を中心としたさまざまな天然物素材の研究が行われています。
ほてりを鎮めるとされる「広東人参」について色素細胞に対する作用を検証。さらに、その新たな可能性にも目を向けて研究を続けられています。
その注目の生薬「広東人参」について、小田原研究員に話を聞きました。
小田原 美樹子さん
大正製薬株式会社 セルフメディケーション 開発研究所薬効評価研究室 主任研究員補小田原 美樹子さん
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北米で生まれ、
中国でも広まった「広東人参」。
「広東人参」は、一般に薬用人参と呼ばれているもののひとつ。薬用人参の中では、朝鮮人参がよく知られていますが、それとは違う種類の植物です。もともと産地は北米。先住民が使っていたと言われています。18世紀初頭、ケベックの宣教師により、朝鮮人参とよく似た植物として発見され、それを華僑と呼ばれる人々(長期にわたり海外に居住する中国人およびその子孫)が中国に持ち帰り、広く知られるようになりました。今では朝鮮人参をしのぐ人気となっています。
「広東人参」は、江戸時代、中国・広東の市場を経由して日本に渡ってきたため、日本では「広東人参」と呼ばれるようになりましたが、他の国では「アメリカ人参(American ginseng)」、「西洋人参」、「西洋参」などと呼ばれています。食材として使われるニンジンとは別のものです。
「広東人参」に、紫外線の
影響をやわらげる働きを発見!
薬用人参の一種である「広東人参」ですが、もともと他の薬用人参とは違う使われ方をしてきました。「朝鮮人参」に代表される薬用人参は、一般に体を温める作用をもっていますが、「広東人参」だけは性質が「涼」とされ、ほてりを鎮め、体を潤す作用があるとされてきました。そのような点から「広東人参」には、紫外線が肌に与える影響を緩和する働きが期待されました。紫外線を浴びた肌ではメラニンを作らせるホルモンが産生されますが、今回、スクリーニングを行う中で、「広東人参」は、このホルモンの影響をやわらげる働きがあることを示唆する結果が得られました。
生薬がどのような作用をもっているかを、試験管内の実験でチェックすること。
メラニン産生に対する
確かな抑制作用を確認できました。
「広東人参」の作用を見出すにあたって私たちが着目したのは、「MSH(メラノサイト刺激ホルモン)」と呼ばれるホルモンです。MSHは通常紫外線を浴びたその皮膚で産生されるホルモン。このホルモンがメラニンを作る色素細胞に作用すると、レセプターを介して「cAMP(サイクリックAMP)」と呼ばれる物質が増加します。するとメラニン産生を促すチロシナーゼという酵素が活性化され、メラニンがつくられます。これが紫外線による色素沈着の主なメカニズムのひとつなのですが、ヒト色素細胞を用いた試験において「広東人参」には、このMSHによるcAMPの増加を抑制する作用があること、つまり、紫外線による色素沈着プロセスの第一段階を「広東人参」が抑えることを確認できたのです。
受容体。細胞膜上あるいは細胞内に存在し、ホルモンや抗原・光など外から細胞に作用する因子と反応して、細胞機能に変化を生じさせる物質。
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【グラフ】色素細胞のcAMP上昇に対するカントンニンジンエキスの作用
###:p<0.001、 非刺激と比較し有意(t-test) **:p<0.01、 対照と比較し有意 (Dunnett's test)
ヒトの色素細胞(WM-266-4)にNDP-α-MSH(合成メラノサイト刺激ホルモン)を作用させると細胞内でcAMPが増加しますが、カントンニンジンエキス(10または100μg/mL)を同時に作用させると、cAMPの増加が抑えられました。
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実際に産生されるメラニン量を計ってみたところ、「広東人参」が共存する場合には、MSHを作用させても、メラニンがつくられにくいということがわかりました。


【グラフ】色素細胞のメラニン産生に対するカントンニンジンエキスの作用
###:p<0.001、 非刺激と比較し有意(t-test) *:p<0.05、 **:p<0.01、 対照と比較し有意 (Dunnett's test)
ヒト色素細胞(NHEM)にNDP-α-MSH(合成メラノサイト刺激ホルモン)を作用させると、メラニン産生が高まりますが、カントンニンジンエキス(30または100μg/mL)を同時に作用させると、メラニンの増加が抑えられました。
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メラニンを作りやすいB16メラノーマ細胞では、肉眼でも広東人参の作用を確認できます。


【写真】色素細胞のメラニン産生に対するカントンニンジンエキスの作用
B16メラノーマ細胞にNDP-α-MSH(合成メラノサイト刺激ホルモン)を作用させると、メラニン産生が高まり細胞は黒くなりますが、カントンニンジンエキス(30μg/mL)を同時に作用させると、メラニンの増加が抑えられ細胞の色も薄くなりました。
紫外線による色素沈着が気になる方に
注目の素材。
「広東人参」には、「ほてりを冷ます」「体液を生じさせる」という働きが伝えられています。ですので、暑く乾きやすい時期に、また、ほてりや乾きの気になる方に向いている素材かもしれません。また、私たちが発見した作用から、夏場、紫外線を浴びやすく、肌のこと、特に色素沈着を気にしている人にとっては、注目すべき素材となる可能性があります。
ただ、一般に、薬用人参には独特の「苦味」があります。そのため、そのまま口にするのは少々厳しいものです。けれども「広東人参」は若干の甘みと清涼感ももっていますので、その持ち味を生かして、苦味が気にならないかたちで、気軽に摂っていただけるものができたらと思っています。
さらに、生活習慣病や疲労に対する
働きにも注目!
「広東人参」には、まだまださまざまな可能性が秘められていると思います。たとえば、「美しい肌」の要素は、色素沈着がないことだけではありません。はりやつやにつながるコラーゲンやエラスチン生成など肌を健やかに美しくする他の働きにも着目しています。また、肌以外にも「広東人参」についてはさまざまな研究が行われており、免疫力を上げる作用や、血糖値の上昇を抑える作用などが比較的多く報告されています。今後は生活習慣病や疲労に対する働きも解明されていくのではないかと考えています。
研究室から、
第二、第三の広東人参を!
「広東人参」に限らず、昔から「○○にいい」という使われ方をされてきた生薬には、現代の医療に活かせるような“キーになる使われ方”があります。「広東人参」の場合は、他の薬用人参と違って、ほてりをさます作用があることが昔から知られていたので、その作用に着目していましたが、検討を進めていくうちに色素細胞に対する作用を発見し、メラニン産生抑制作用を確認することができました。研究室には、解明されていないまでも古くから「からだにいい」と言われているものがたくさんあります。科学的に検証を進めながら、その働きを解明し、さらに新しい作用を発見できるならこんなにうれしいことはありません。これからも、さまざまな生薬に目を向けて、第二、第三の広東人参と言えるような素材を発見していければと思います。
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