お酒と上手につきあいたい

+酔いのメカニズム

■ 酔いとは脳のマヒ状態

 お酒には、エタノールという麻薬と同じ働きの成分が含まれており、この成分が脳をマヒさせると“酔い”が起こります。脳は外側から順に、大脳皮質(新皮質・旧皮質)、小脳、脳幹に分かれ、最初にマヒし始めるのが、人間の理性をつかさどる大脳の外側の新皮質。まず、さわやかでいい気分になる「爽快期」が訪れます。次第に内側の旧皮質までマヒして「ほろ酔い後期」になるとかなり気が大きくなり、荒々しくなってきます。さらに段階が進み、運動中枢である小脳がマヒする「酩酊期」に入ると千鳥足などの兆候が現れ、最終的に、呼吸中枢のある延髄を含む脳幹までマヒしてしまうのが「泥酔期・昏睡期」で、呼吸障害や体温低下から意識がなくなり、死に至る場合もあるのです。

■ アルコールの8割は腸で吸収される

 体内に入ったアルコールは胃から約2割、腸から約8割が吸収され、血液に溶け込んで肝臓に運ばれ、ほとんどがそこで処理されます。まず、ADH(アルコール脱水素酵素)により分解されてアセトアルデヒドに変化しますが、これが有害物質であるため、顔が赤くなったり、動悸(どうき)や頭痛、吐き気といった悪酔いの症状をひき起こします。アセトアルデヒドはALDH(アルデヒド脱水素酵素)によって無害な酢酸に分解され、血液を通して全身に運ばれ、最後は炭酸ガスと水に分解されます。

■ お酒に強い・弱いは体質による

●ALDH2型による違い
 お酒に・強い・弱い・は2つの遺伝子の組み合わせにより決定します。
 まず、アセトアルデヒドが低濃度のときに働く酵素ALDH2型の活性の違いが関係します。この遺伝子は活性のないALDH2 2と、正常に活性するALDH2 1の2種類があリます。これらが両親から各1個受け継がれ、組み合わせにより2 1/2 1はお酒に強く、2 1/2 2は初めは弱くても次第に飲めるようになり、2 2/2 2は訓練しても飲めない下戸となります。日本人にはお酒に弱い2 1/2 2が約4割、2 2/2 2が約1割存在します。

●ADH2型による違い
 次に、アルコールの分解速度が異なるADH2型という遺伝子があり、ゆっくり分解する21と、早く分解する22があります。生体内では分解速度に明らかな差は見られませんが、理論的には両親のそれぞれから2 2を受け継いだ人はアルコールが血液中にたまりにくいので酔うのが遅く、逆に2個とも21型を受け継ぐと、酔いが早く訪れ、酩酊感が続くと考えられます。ちなみに、ALDH2 型の活性が正常で、かつ ADHが2個とも21型の人はアルコール依存症になりやすい傾向があります。

●飲み続けていると強くなる
 お酒は長い間飲み続けているとある程度強くなりますが、これは肝臓内でADHと並んでアルコールを分解するMEOS(ミクロゾームエタノール酸化系)という薬物代謝酵素の増加が原因です。MEOSは抗てんかん薬や精神科の薬などを常用していると増えるものですが、お酒を飲み続けていても増えていきます。その結果、すぐにアルコールが代謝されて酔いにくくなり、徐々に酒量が増えるというわけです。

アルコール血中濃度と酩酊の目安

(社)アルコール健康医学協会資料より