Q03 ストレスで急性胃炎が起こるメカニズムは?

自律神経の働きが乱れ胃がダメージを受けます

胃液の分泌やぜん動運動といった胃の働きは、すべて自律神経によってコントロールされています。自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、互いにバランスを保ちながら機能しています。しかしストレスがかかると、このバランスが乱れ、胃がダメージを受けます。そのメカニズムは次の通りです。

●交感神経が優位になる……ストレスによる刺激が交感神経に伝わると、胃の血管が収縮して血流が低下し、ぜん動運動が弱まり、胃液の分泌量と共に胃を保護する粘液が減少する。
●副交感神経が優位になる……交感神経が優位になることで崩れたバランスを立て直そうと、今度は副交感神経が優位になって、ぜん動運動が活発になる。すると胃液の分泌量が増加して胃酸過多になり、胃を刺激する。

自律神経が乱れる他にもストレスにより副腎皮質ホルモンの分泌が高まることでも、胃粘膜の抵抗力が低下します。
ストレスがかかる度にこうした状態が繰り返される結果、胃粘膜が傷つき、急性胃炎を発症してしまうのです。また、暴飲暴食や脂っこい物の摂り過ぎなど食生活の乱れも胃酸過多の原因になる他、胃炎にはピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の存在も関係していると指摘されています。
ピロリ菌は胃の粘膜にすみつく細菌で、感染すると菌が発するアンモニアや毒素などによって胃粘膜の抵抗力を弱めます。実際に、阪神・淡路大震災や東日本大震災後、震災のストレスによって胃・十二指腸潰瘍になる人が急増し、中でもピロリ菌感染者は、そうでない人に比べ発症率が高かったことが報告されています。
ピロリ菌感染者の場合、慢性的な胃の不調に慣れてしまって自覚症状がなく、健康診断などの胃の検査で初めて、胃炎と判明するケースも少なくありません。こうしたことから、症状の有無に関係なく、一度はピロリ菌検査で感染しているかどうかを確認しておくと、胃のトラブル予防に役立ちます。

ピロリ菌検査と除菌

ピロリ菌は衛生環境の整っていない所で感染しやすい細菌で、日本では衛生環境が未整備だった時代に生まれた60代以上の人に感染者が多く見られます。ピロリ菌は胃がんの発症にも関係していることから、健康診断などの検査で感染が分かった場合は早めに除菌しましょう。除菌では、2種類の抗生物質と胃酸分泌抑制薬を1週間服用します。胃炎や胃・十二指腸潰瘍を発症している場合は保険適用となります。除菌によって症状が改善するケースが多いことは分かっていますが、胃がんなどの発症リスクがすぐに低下するわけではないので、除菌後も年1回は胃の検査を受けることをおすすめします。